ディック・ジョルダーノ死去

77歳だと。80年代からアメコミを読み始めた俺のようなファンにとっては、DCコミックスのナンバー2として、社長のジェネット・カーンとともに「ダークナイト・リターンズ」や「ウォッチメン」を世に出した偉い人なんでありますよ。

邦訳もされた「The Greatest Batman Stories Ever Told」の序文によると、喘息で病気がちだった子供の頃に父親が「バットマン」を買ってきてくれたことがきっかけでコミックスに魅せられたそうだが、その人生のすべてをコミックスに捧げたわけで、60年代にはチャールトン・コミックスの編集長としてザ・クエスチョンやブルー・ビートルといったキャラクターが生まれるきっかけを作ったんだよな。またアーティストとしても第一線で活躍した人で、特にインカーとして肉厚なベタ入れを得意とし、ニール・アダムズやジョン・バーンなどの画を映えたものにしてたっけ。むかしイタリアあたりのコミックを眺めてたら、彼のスタイルにそっくりな作品を見かけて驚いたことがある。

会社側の人間としてクリエイターの権利を認めることには否定的な態度をとってたそうだけど、アメコミに多大な貢献をした人であることは間違いない。合掌。

「フューチュラマ」DVDセット到着

こないだ米アマゾンで「フューチュラマ」のDVDセットが24時間セールとして激安販売されてたので衝動買いしたわけだが、それが本日到着。

思ってたよりもサイズは大きくて、ベンダーのアンテナ部分までの高さは40センチくらい。置き場所に困るかも…。

裏を開けるとDVDが裸でスタックされている仕様が実にアメリカン。一番下のディスクを取り出すのは結構難儀だったりする。

ディスク19枚組の送料込みで8500円ちょっとというのは安いよな。6月くらいにはコメディ・セントラルで新しいエピソードが放送されるらしいので、それまでにチマチマと観ていくことにしよう。

「FANTASTIC MR. FOX」鑑賞

邦題は「すばらしき父さん狐」になるのかな?ウェス・アンダーソンによるストップモーション・アニメ。かつてニワトリ泥棒をやっていたミスター・フォックスは妻が妊娠したことをきっかけに泥棒稼業から足を洗い、新聞のコラムニストとして妻子とむつまじく暮らしていた。しかし大きな木の中にできた家に引っ越したとき、そこから3つの裕福な農家を眺めているうちに昔の意欲がムクムクと沸き上がってきてしまい、それぞれの農家に泥棒に入ることに。3件とも泥棒に成功して有頂天になるフォックスだが、これにより激怒した3人の農家たちはフォックスを銃撃し、彼は尻尾を失ってしまう。さらに農家たちがフォックスたちの住む木を爆破したため、彼らは命からがら地中に逃げることに。しかし農家たちの追撃はそこにも迫ってきていて…というようなお話。

ウェス・アンダーソンってあの若さで良くも悪くも自分のスタイルを確立させてしまった人で、前作「ダージリン急行」は話の展開があまりにもそのスタイルにはまっていて食傷気味だったんだが、今回はストップモーション・アニメという技法を用いることで新しい境地に辿り着いたのかな…と思ってたら彼のスタイルは健在でした。微妙に噛み合ないシュールな会話とか、どこかぎこちない家族関係、60年代のブリティッシュ・ロックといったアンダーソン作品ではおなじみの要素があちこちで顔を出すことに。「子供に尊敬されない父親」が主人公だというのは「ロイヤル・テネンバウムス」や「ライフ・アクアティック」に似ているかな。ただし「アクアティック」ではそのマンガ的な展開が空回りしていることが多かったのに対し、今回はまさにマンガ(アニメ)という手法をとったために、どんな滑稽な展開があっても違和感なしに観れてしまうところが強みだな。

アニメの出来は「コラライン」とかに比べると多分にぎこちなくて、教育テレビとかで見かけるものをちょっと立派にしたような感じ。12fpsで撮影されたというのもチープさに影響してるのかな。でも物語の素朴さにはよく合っていると思う。ミスター・フォックスの声をあてているジョージ・クルーニーも、いかにも本人そのままといった感じで気楽に演技しているところが良かったな。

アニメ作品とはいえ、内容はむしろ30〜40代あたりのお父さんに受けるんじゃないかな。日本で宣伝するのはなかなか難しそうだ。まあこれでウェス・アンダーソンは今までと違った映画を作ったわけで、それが彼の今後の作品にどう影響するか期待したいところです。

「Adventure Time with Finn and Jake」鑑賞

iTunesストアで無料だったので、期待せずに観てみたら結構面白かったカートゥーン・ネットワークの新作アニメ(非アダルトスイム)。

ネコミミ帽子をかぶった少年フィンと言葉を話す犬のジェイクが魔法の国で冒険を繰り広げるという内容だけど、ストーリーはとってもシュール。俺が観たエピソードは「ぶよぶよ次元」の住人にジェイクが噛まれてしまい、彼の体がぶよぶよになるのを防ぐため解毒剤を求めてフィンとジェイクはぶよぶよ次元に向かうが、解毒剤は3人のゴロツキに守られていて…といった感じの内容だったけど、ひたすらユルい展開が続くお話でした。

故セス・フィッシャーあたりを彷彿させるポップでカラフルなキャラクターが、腕や体をウネウネさせながら画面中を跳ね回る光景は見ていて楽しかった。これうまく宣伝すれば日本でも受けるんじゃないかな。

「JUSTIFIED」鑑賞

アメリカで非常に高い評価を受けているFXの新作ドラマ。観てみたら確かに傑作だった。

エルモア・レナードの小説を原作にしたもので、主人公のレイラン・ギブンスはフロリダの連邦保安官だったが、自分なりの道理で犯罪者を射殺してしまったため上司に疎んじられ、生まれ故郷であるケンタッキー州のハーラン・カウンティへと左遷させられてしまう。そこでは彼の父親や元妻などが住んでいるほか、彼の幼なじみであるボイドが率いるネオナチの一味が町を荒らしており、治安は決して良いものではなかった。そしてボイドによる教会の襲撃を捜査することになったレイランはボイドの所へ赴く。最初はレイランに再会できたことを歓迎するボイドだったが、彼があくまでも自分を逮捕する気でいることを知ると、レイランにこう告げるのだった:「24時間以内に町から出て行け。さもないとお前を始末する」と…というのが第1話のプロット。

舞台は現代であるものの「不穏な町にやってきた保安官」というスタイルは明らかに西部劇のそれで、現代的な早撃ち勝負なんかもあったりする。同じくティモシー・オリファント主演ということでHBOの西部劇ドラマ「デッドウッド」と比較する声が多いようだけど、俺はあのドラマ観たことないんで何とも言えんな。

とにかくセリフも脚本もカメラワークも音楽(担当はスティーブ・ポーカロ)も非常に手堅い出来になっていて、50分ほどの尺ながら重厚な小説を読んでいる気になって、そこらの劇場用映画よりも遥かに楽しめる内容になっていた。呑気そうな町の警察署長たちが実はかなり敏腕で、平気で警察を銃撃してくるネオナチと銃撃戦を繰り広げるシーンも非常に見応えあり。そして一番見事なのはティモシー・オリファントの演技で、常にカウボーイハットをかぶって不敵な笑みを浮かべ、すごく落ち着いて行動を起こす一方で、暗い過去をについて話すときは真剣な顔になるレイランを完璧に演じている。ティモシー・オリファントって「ヒットマン」のハゲ頭くらいしか印象に残ってなかったんだけど、こんなに巧みな役者だったのか。

もし難点があるとすれば登場人物たちの南部訛りが聞きづらいところと、第1話の話がかなりまとまっているために今後の展開がどういうものになるのか分からない点かな。いわゆる「一話完結」のスタイルをとるみたい。

「デッドウッド」同様に日本では受けにくい作品かもしれないが、アメリカでは順調にいけばいろいろ賞を穫るシリーズになるかも。今後も注目。