コミコンの「ニセ人気」

数多あるコミック・コンベンションのなかでも最大のものであるサンディエゴ・コミコンが来週開催されて十数万人の来場者が見込まれてるそうだが、ここ数年はむしろコミックのコンベンションというよりも、ハリウッドのスタジオなんかが新作のSF映画やテレビ番組を初公開するような、ギーク向けの映像見本市という風潮が強まってきているらしいんだよね。

これに合わせて出演者などがゲストとして続々来場し、ギークどもはそれを観て狂喜するわけだが、あくまでもコミコンでの評判というのは特定の観客のあいだのものであって、一般の市場でもそれが通用すると思ってはいけないよ、という記事がVARIETY誌に載っていた。最近の「ターミネーター4」や「ウォッチメン」がコミコンでの評判にもかかわらず興行成績が悪かったことをふまえたうえでの記事らしい。

まあ確かにコミコンに行くような客というのは特定の趣味や嗜好を持った人たちであって、彼らが一般社会を代表しているとは考えにくいわな。日本でもコミケで人気があるマンガと一般で人気があるマンガは異なっているんじゃないの?そもそもそうした嗜好をもった人たちのあいだで評判を得ておいて、それを一般市場での宣伝材料に使おうというのがスタジオ側の魂胆であったわけで、それを今になって「コミコン人気は信用できないよ!」なんて言われても、ねえ。作品の不出来を観客のせいにするなよ。出来の良かった「ダークナイト」なんかは一般市場でもちゃんとヒットしたじゃん。

ちなみに記事中でも言及されてるけど、こうしたギーク間での人気を煽り立てている人物にケヴィン・スミスがおりまして、奴とAintItCoolのハリー・ノウルズは煽り文句が多くて言ってることが信用できないんだよな。どちらもギークにとって貴重な存在であることは間違いないのですが。

「フロム・ヘル」日本語版刊行

柳下毅一郎訳で10月発売だそうな。500ページを超えるあの大作がついに日本でも手に入るのか。切り裂きジャックを扱った作品だがいわゆるフーダニットものではなくて、世紀末のビクトリア王朝の腐敗や貧しい庶民の生活、そしてジャックが20世紀にもたらしたものなどを多くの観点から描いた、蘊蓄本に近い内容になっている作品。俺が特に好きなのは前半のロンドン中を馬車で廻りながら、建築物に隠された様々なシンボルの秘密が解説されていく悪夢のようなシーン。コミックにおける時間の流れ(特に時間がゆっくり進む描写)なども非常に良く練られたものになっているので、書店で見かけたらぜひ手にとってご照覧あれ。映画版とはまったくの別物だからね!

ただし個人的にはエディ・キャンベルのアートがどうしても好きになれなくて、彼が才能あるアーティストだというのは承知してるのですが、写実的というよりもむしろ抽象的(と俺は思う)なそのスタイルは、これだけ多数の人物が出てくる作品にはちょっと向かなかったんじゃないかと。読んでて人の顔の区別がつかなくなることが多々あったような。もちろん彼のアートがこの作品のムードにたぶんに貢献していることは承知してるのですが、他のアーティスト(例えばブライアン・タルボット)が担当してたらどんな作品になっただろうと思うことしきり。

ちなみにみすず書房のサイトにある「マンガとも小説とも異なるグラフィック・ノベル」という表現にはちょっと違和感を感じまして、「グラフィック・ノベル」の定義については本国のアメコミファンのあいだでも議論されてるんだが、個人的には「グラフィック・ノベル=マンガ」なので、変に名称を変えてマンガとは別物扱いで宣伝することはあまり好きではないのであります。

都議選の結果

「石原与党」である自民党が大敗したことで、あのアホらしい五輪招致への散財は抑えられると思っていいんだよね?ね?

東京都民はオリンピックなんて開きたいと思ってませんよ!そんなことに使う金があったら、もっと他のことに使えるでしょ!

「グリーン・ランタン」の主役決定

ライアン・レイノルズって…俺この人の出てる作品観たことないや。カナダ人なのか。スカーレット・ヨハンソンの夫???

原作のグリーン・ランタンことハル・ジョーダンってそれなりにベテランのスーパーヒーローなので、20代前半の若造とかをキャスティングしなかったのは評価できるかな。あとは脚本がどうなることやら。原作は「レンズマン」ばりのスペースオペラ要素があって、特にジェフ・ジョンズがストーリーを担当するようになってからは非常に面白い展開が続いているんだが、映画だとたぶんもっと地球ベースの話になりそうな気がする。

「ダークナイト」とは言わないが、「スーパーマン・リターンズ」くらいの出来になることを期待。

トーチウッド「CHILDREN OF EARTH」鑑賞

実質的なシーズン3だが、今までと違って今週の月〜金に「日刊トーチウッド」として放送された全5話のミニ・シリーズになっている。

ある日とつぜん世界中の子供たちが動きをとめ、「我々はやってくる」と一斉に唱えだす現象が発生。そしてこれに合わせて「456」と呼ばれる地球外生命体がロンドンに来訪する。彼らの目的は何か?トーチウッドは彼らを阻止できるのか?そしてキャプテン・ジャック・ハークネスと「456」の意外な関係は…?というのがおおまかなプロット。

インベイジョンSFとしては派手な災害や地球外からの攻撃シーンなどはないものの、手堅い演出のおかげで最後まで飽きさせない。今までの「トーチウッド」にありがちだったキャンプ趣味も鳴りを潜め、各メンバーの私生活にも焦点をあててヒューマン・ドラマとしても面白くさせることに成功している。またトーチウッドだけでなく政府の職員の葛藤などもきちんと描いたことで、侵略される側の不安さをうまく醸し出している。

とはいえ重警備の軍施設にショベルカーで突っ込んで侵入に成功したり、役人のオフィスで働く新人が、たまたまポストイットに書いてあったパスワードを使って最高機密の文章を読んだりするなど、それなりにご都合主義的な展開はありますが。ポストイットにパスワード書いてモニターの横に貼ってる奴なんてうちの職場にもいないぞ!ラストの解決策についても弱冠詰めが甘いような気がするけど、全体的にはとても楽しめる内容でした。今後も「トーチウッド」はこのミニ・シリーズ形式をとった方がいいんじゃないの。

そこで問題なのが、果たしてシーズン4は作られるのかということでして、これでおしまいにするにはしっくりこない気がする反面、基地もメンバーもなくなったトーチウッドがこのまま存続できるのかは疑問ではある。何にせよこうして面白いものが作れるんだから、何かしらの形でキャプテン・ジャックたちの帰還を望みたいところです。