最近読んだアメコミの中で、非常によかったものを3つほど紹介…SGT. ROCK: THE PROPHECY #1 (DC)
アメコミ界の生ける伝説のひとりジョー・キューバートが40年以上にわたって描き続けている、第二次大戦を舞台にしたサージェント・ロックとイージー・カンパニーの冒険の最新作。真夜中のパラシュート降下から市街地での戦車との戦闘にいたるまで、もう構図の取り方や雰囲気の醸し出し方がハンパじゃなく見事。全6巻のうちの#1ということでストーリーは比較的シンプルなものの、これからの展開がとても期待できる内容になっている。大ベテランが手慣れたキャラクターを扱えば、ここまで立派なものが出来るんだよという好例。キューバート先生、今度はぜひ「ENEMY ACE」を再びやってください。
PLASTIC MAN #20 (DC)
天才アーティスト、カイル・ベイカーがプラスティック・マンを手がけたシリーズの最新刊。ベイカーの作品(特にカラーのやつ)はどれも大好きなのだけど、この話もシリアスあり、スラップスティックあり、カリカチュアありといろんな要素が凝縮された、非常に楽しいものになっている。ドタバタ活劇でありながら、現在のDCのコンティニュイティー(「Infinite Crisis」周りのやつ)をしっかり押さえているのも面白い。この人のアートは眺めてるだけで楽しいですね。しかしこれだけ優れた作品でありながら、売れ行きは決してよくなかったらしく、この#20でシリーズは終わってしまうんだとか。なんてこった。賞とかもいっぱい穫ってんのに。残念。
NEXTWAVE #1 (MARVEL)
作ウォーレン・エリス、画スチュアート・イモネン。これすげー楽しい。マシンマンやフォトンといったマーヴェルのC級ヒーローたちがHATEという組織に加わって世界への脅威と戦うという内容なんだけど、話はもう完全にコメディ。エリスが担当してた頃の「AUTHORITY」をさらにブラックにしたというか、スーパーヒーローたちを絶妙にパロっているのがとにかく笑える。ここ最近のエリスってなんか不調になった感じがあったけど(「アイアンマン」とか)、やっぱり才能あるライターなんだと再確認。今になって思えば、「AUTHORITY」もエリスが抜けて、マーク・ミラーが担当するようになってからつまらなくなってったんだよな…。イモネンも以前はアダム・ヒューズのような柔らかい絵を描く人という印象があったけど、今回は結構トンガった感じのアートをこなし、話にうまくマッチさせている。早く次が読みたい。