インド旅行

インド
久し振りに紀行文を。夏休みはモンゴルかドバイを検討していたがスケジュールや予算などの都合でインドにすることに。デリー・ジャイプール・アグラを周回する初心者向け?のツアーを申し込む。今回はじめて海外旅行するにあたってビザを申請することになったが、いろいろ面倒くさいですねあれ。書き直しが生じて申請所に2度足を運ぶことになったよ。

飛行機の時間がおねむの時間と重なってたので機内では「ジャングル・ブック」だけを観る。あの話のキモって、(ネタバレ)最後にモーグリが人間の世界に帰っていくことなのではないのか?ああいう終わり方でいいの?

デリーに深夜について次の日に観光。最初に行ったのがでっかい塔のクトゥブ・ミナール。
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70メートルほどの高さで、当初はもっと高かったのが落雷などでいまの高さになったのだとか、中には入れないものの、尖塔などが好きなので満足。

それから行ったフユマーン廟もまあまあ。ツアーの一環として輪タクにも乗りましたが、明らかに体力不足な初老のオッサンが立ち漕ぎしながら渋滞のなかを走るものだから、下手な遊園地のアトラクションよりもずっと身の危険を感じたぞ。インドってどうも短い距離なら道路での逆走が許容されているらしく、他の車ばかりか自分たちの乗ったバスも逆走を始めた時は血の気が引きましたね。

昼食はカレー。つうか旅行中はずっとカレー。美味くも不味くもないのだけど、一日中ずっと食べてるとさすがに飽きました。サモサが食べたかったけど出てこなかったな。現地では大丈夫で帰国したとたんに腹を壊したけど、食事のせいなのか疲労のせいなのかは不明。

あとはバスのなかからインド門などを眺めながらジャイプールに移動。高速道路はコンテナを積んだトラックで渋滞していて、たまに路肩に出て悪路を走りながら(ここにも逆走車あり)ひたすら道を走るという、ちょっと「デス・ロード」っぽい展開でした。

ジャイプールはホテルがいちばん綺麗だったな。次の日はアンベール城に向かい、象に乗って丘の上へと運ばれることに。象に触れたり乗ったりするのって長年の夢でしたが、よく考えてみれば人間に搾取されている象に乗っかっているわけで、微妙な罪悪感を抱いてしまった。そして象の背中は揺れる揺れる。1 (1)
アンベール城は鏡や宝石で飾られた部屋などもあって美しかった。インドはどの城や宮殿もやたら広く、王族がふんだんな財産と人力をかけて建設したことがよく伺える。この次に行った風の宮殿も広くて見晴らしが良かったですよ。

あとは王が作った天文施設のジャンタルマンタル。どことなくJG・バラードの小説を彷彿させるような幾何学的な建造物が立ち並ぶ土地のなかには20秒刻みで時を計れる日時計なんてのもあって圧巻でした。でも当然みんな太陽が出てないと使えないわけで、雨季などでは無用の長物になるんだろうか。
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それからまた長時間バスに乗ってアグラへ。途中でファテープル・シークリーに寄る。ここも山の上に建設されたにしては広大な宮殿でした。

なお格安ツアーなのでショッピングの立ち寄りが何度か設けられていて、個人的には宝石とか大理石とか服飾に興味がないのでちょっとしんどかったけど、他のツアー客、特に女性はいろいろ買われてましたね。今回は発展途上国(失礼)へのツアーのせいか、俺のように一人参加している客が比較的多かったような。それ以外の客も多くは旅慣れている感じで、そうでなくて空気の読めない人が一人でもいるとね、みんなの士気がどっと下がりますので、みなさんもツアーに参加するときは気配りしましょう。

3日目はいよいよタージマハール観光。あいにく片側が修復中だったが、逆に足場が組まれてることで建物のスケールがわかって良かったかも。内部の霊廟は写真撮影禁止のはずなのだがみんな平気でフラッシュ焚いてまして、警備員が激昂してました。大理石の飾りも美しく、やはり見事な建物でしたよ。
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最後はアグラ城に。ここもデカい。インド軍が使っていて建物の4分の3は入れないというにもかかわらずデカかった。タージマハールを立てた王様が息子によってここに幽閉され、タージマハールを眺めながら死んでいった、というのが歴史を感じさせますね。

それからまたバスに乗ってデリー空港へ。汗と砂で汚れてたので、成田空港よりも高くついたけどプレミアムラウンジでシャワーを浴びてリフレッシュ。おかげで帰りのフライトはよく眠れました。

3泊5日で1日6時間以上はバスに乗っているという強行軍だったので、悠久の時を感じる暇もない忙しい旅だったけど、それでもいい経験にはなりましたね。ただしクセのある国なので、海外旅行の初心者向けではないかも。物乞いも多いしゴミと瓦礫が散乱しているし、経済的な発展が見込まれているとはいえ、まだまだ課題が多い国ではあるな、と思ってしまう。学校に行ってるべき幼い子供が目の前で芸を披露し始めて小銭をねだったりするのを見るとね、どうすればいいのか困惑してしまうのよ。とはいえ思ったよりも危険は感じなくて、むしろ人々は陽気で親切な印象を受けました。空港のトイレで歯を磨いてたら掃除の人がペーパータオル持ってきてくれたし。いろんな国を訪れるたびに感じますけどね、結局いちばん印象に残るのって自然や建物でなく、その国の人にどう接されたですからね。優しく人に対応してもらえればその国に良い印象を抱くようになるし、その逆もまたしかり。というわけで日本に来ている観光客にもみなさん優しく対応してあげましょう。

「THE NEON DEMON」鑑賞

The Neon Demon
ニコラス・ウィンディング・レフンの新作。タイトルにしっかりと「NWR」のロゴを入れてくるあたり、なんか自分をブランド化しようとしてるのかなあ。

両親を亡くし若干16歳でジョージアからロサンゼルスにやってきたジェシーは、モデル業で生計を立てようとして初のフォトセッションでメーク係のルビーと友人になる。彼女の美貌は皆の注目するところとなり、年を19歳と偽ってモデル・エージェンシーに登録した彼女は、著名な写真家に抜擢され、さらに他のモデルたちを差し置いて有名なファッションデザイナーのお気に入りとなる。しかしそんな彼女の急な成功を、周囲のベテラン・モデルたちは妬むようになり…というあらすじ。

映像はきらびやかで綺麗なおねーさんたちもたくさん出てくるけど、エログロ描写のあるスリラーですからね。デートとかで観に行かないほうがいいんじゃないかと。映像は「オンリー・ゴッド」同様に派手なネオン調のライトがふんだんに使われていて美しいのだけど、ストーリーは華麗なモデル業界の裏における女性たちの確執という、かなり使い古されたものであることは否めない。主人公が写真家に「服を脱げ」と言われる展開など、どこの少女漫画だよ…。レフンはエクスプロイテーション映画好きを公言してるので、意図的にトラッシュな内容にしたのかもしれないのだが、なんか映像美に比べて中身がスカスカな感じがしてしまった。

いちおう「美しさはそれ自体が強さである」というテーマがあるのだけど、「生まれながらにして持った自然の美しさこそ最強。整形手術などによって得た人工の美しさはダメ」という主張を登場人物がつらつらと語っていて、自然食じゃないんだからもうちょっとヒネリがあっても良かったんじゃないかと思う。

ジェシーを演じるのはエル・ファニング。こないだ「トランボ」で清純な娘役を演じているのを観たばかりなので、あれとは大きく異なる役を演じているのは面白かったですね。ただ皆が羨む美貌の持ち主かというと…?個人的にはルビー役のジェナ・マローンの方がタイプに感じました。あとはレフンのお気に入りのクリスティーナ・ヘンドリックスがちょっと出てるほか、主人公が泊まっているモーテルの横柄な管理人をキアヌ・リーブスが演じているのだが、やはり怒鳴る役って彼に似合ってないのよ。もう変に冒険せずにクールな役に徹したほうがいいのでは。音楽は例によってクリフ・マルティネスが担当していて、LAが舞台なせいか「ドライブ」以上にヴァンゲリスの「ブレードランナー」っぽい雰囲気になっていました。

監督の趣味が高じて作られてしまった作品なんでしょうな。こういうのが好きな人もいることはいるでしょうが、個人的にはピンと来なかった。

「ATLANTA」鑑賞。

Atlanta, Season 1
FXの新番組。舞台は当然ながらアトランタ。

アーネスト(通称アーン)はプリンストン大学に進学しながらもドロップアウトしてアトランタに戻ってきた若者。彼は店頭勧誘員をしてギリギリの生活費で暮らし、実家にも住まわせてもらえず、赤ん坊がいるのにその母親に愛想をつかされて半同棲するような暮らしを続けていた。そんなある日、いとこがペーパー・ボーイという名前のラッパーとして有名になってきていることを知り、彼のマネージャーになることを直訴する。最初はペーパー・ボーイに軽くあしらわれたアーンだが、なけなしの金を使ってラジオでペーパー・ボーイの曲をかけてもらったことで彼に気に入られるのだが、その直後にペーパー・ボーイが銃撃事件を起こしてしまい…というあらすじ。

最近はコメディに力を入れてるFXだが、こないだの「Baskets」に続いてルイ・CKが製作した「Better Things」という番組も始まりまして、どちらも「Louie」に似た、ダメ男(女)の不運な話が続くダウナーな内容になっていて、正直なところコメディといっていいのかかなり微妙な内容なんだよな。この「ATLANTA」も「Louie」のようにダメ男の日常を描いたものになっていて、あるいはNetflixの「Master of None」と比較する声もあるみたい。純真な主人公が世知辛い世の中でどうにか生きていこうとする物語というか。

だから抱腹絶倒できるようなコメディかというと全くなくて、登場人物の哀しくも滑稽な生き様が描かれるドラマといった感じ。でもダメ男が主人公の作品って個人的には好きなので、コメディではないと割り切って観れば普通に楽しめる番組であった。自分が成功できなかったことを、いとこに託すというか投影している主人公の悲喜劇がうまく表されているというか。ちょっと幻想的なシーンもちらほらあって、製作者たちは「ラップ版ツイン・ピークス」とか呼んでいるらしいが、まああそこまで奇妙にはならないでしょう。

主演・原案・脚本は「コミュニテイ」のドナルド・グローバー。「オデッセイ」のリッチ・パーネル・マヌーバーの彼ですね。彼は「チャイルディッシュ・ガンビーノ」名義でラッパーとしても活躍してるので、こういう音楽シーンを舞台にした物語には似合ってるんでしょう。これアトランタのラップ・シーンとか知ってるともっと楽しめるのかな。共演者にはイザイア・ウィットロック・Jrが出ていた。意外と彼はいろんな番組で見かけるな。多くのエピソードをヒロ・ムライという日本出身の監督が演出していて、ドローンで撮ったらしき上空からの映像が効果的に使われていた。

題材などで観る人を選ぶ番組かもしれないが、主人公が今後どうなっていくんだろう、という気にさせてくれる番組ではありましたよ。やはり俺はダメ男が主人公の作品には共感せざるを得ないのです。

「The Nice Guys」鑑賞

The Nice Guys
凸凹コンビが活躍するバディ・アクション・ムービー(「アイアンマン3」を含む)を書いてキャリアを築きあげたシェーン・ブラックが贈る、新たなバディ・アクション・ムービー。

舞台は1977年のロサンゼルス。サエない私立探偵のホーランド・マーチは謎の事故死を遂げたポルノ女優について調べているうちにアメリアという女性について知る事になるが、アメリアによって雇われた用心棒のジャクソン・ヒーリーによってボコボコにされてしまう。しかしその後ヒーリーがアメリアを探す別の男たちに襲われたことから、ヒーリーはマーチと手を組んで、行方をくらましたアメリアを探すことになる。そしてアメリアがポルノまがいの映画に出演していたことを知った二人は、その映画の関係者がみんな開始を遂げていることに気付き…といったあらすじ。

ライアン・ゴズリング演じるマーチはとことん才能がない快楽主義者で、大事なところでヘマばかりしていて、酒とタバコに目がないタイプ。対するヒーリーは体型こそでっぷりしてるものの(ラッセル・クロウが意図的に増量したらしい)ストイックな男で、厭世的な人物。クレジットこそクロウが主役なものの、おいしいところは全部ゴズリングがとっていってしまってます。でも演技ががいちばんいいのはマーチの娘を演じるアンゴーリー・ライスで、この子役は結構すごいかも。あとはマット・ボマーとか、表情の変わらないキム・ベイシンガーなんかが出てます。

しかしタフガイと口の達者なお調子者がロサンゼルスで活劇を繰りひろげる内容って、シェーン・ブラックの初監督作「キス・キス・バン・バン」そのまんまだよなあ。自分のトレードマークである「クリスマス」も最後に無理やり持ってきてるし、ほとんど意図的に自分の過去作を踏襲してるんじゃないだろうか。70年代のLAを舞台にしたボンクラ私立探偵の物語という点では「インヒアレント・ヴァイス」に似てなくもないが、当然ながらあっちほど奥深さはなくて、もっとジェネリックな探偵ものといった感じ。

女を追っていったら裏にある組織の巨大な陰謀を発見した、というのは私立探偵ものの定番の展開だが、ハードボイルドというわけでもないしガムシューでもないし、まあ単純なアクション・コメディですかね。話の展開は速いしアクションは派手だし、観ていてそれなりに楽しいことは間違いないんですよ。ただ現在においてこういう作品を作る必要性ってどこにあるんだろう。最後にアメリカの自動車産業を風刺するようなセリフも出てくるけど、そんなに意味深いものでもないし。

まあよくも悪くも監督の趣味で作られた映画といったところか。シェーン・ブラックの過去作が好きで、内容が過去のものと被ってても構わない、という人なら充分に楽しめる作品でしょう。

「シン・ゴジラ」鑑賞

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ツイッターのTL上の評判がとても良かったのと、みんな当面はネタバレをするまい、という雰囲気がひしひしと感じられたため、ならばネタバレされる前に観てしまえ、ということで劇場に行ってきました。ギャレス・エドワーズ版を除けば、「ゴジラ」を観るのって1984年版以来となります。

それでね、個人的にはまったくダメだったのですよ。

ストーリー的には悪くないんですよ。ゴジラが現れて暴れるというコンセプト自体は非常にシンプルながら、東日本大震災と原発事故の出来事をうまく取り入れて、怪獣映画にブレンドしている手腕はとても良かったと思う。ただあのときって、直接の被害を受けなかったとしても人々のあいだには重々しい不安感があり、福島の状況に対する無力感があり、ネット上では有象無象の見解(というかデマ)が飛び交ってたじゃないですか。それに対してこの映画ではゴジラが襲撃してない間はごく普通の日々が続いてるような描写がされていて、なんか違うんじゃないのとは思いましたが。

そんで自分にとって何がダメだったかというと、やはり演出。ちなみにおれ「エヴァンゲリオン」は観ていて(テレ東のものではなくてWOWOWでやった総集編みたいなやつ)、それ以外の庵野秀明の監督作は観てません。よって彼が他の作品でどういう演出をしているか知らないし、今回は意図的に「エヴァ」に似せたという話も聞くものの、何にせよアニメと同じ演出を実写でやることが個人的には受け入れられませんでした。

あまり意味のなさそうな変なカメラワークはまあ置いておくとして、無愛想な理系女子とか、データサンプルみて興奮するメガネ男子とか、言葉の節々に英語を交えるハーフ女性といったキャラクターはね、アニメの世界だからこそ存在が許容されるのですよ。この国の状況をクールに見据えるキャラクターなんて二次元だからこそ映えるわけで、さすがに顔が脂ぎってきた竹野内豊に演じさせてもカッコ悪いのよ。石原さとみに至っては日本語も英語もなに言ってるか分からなくて論外。「サンダ対ガイラ」のラス・タンブリンみたいに外人起用して声を吹替えたほうが良かったのでは。人物だけでなくゴジラも、巨神兵まんまな描写がありましたね。

昨年押井守の「パトレイバー」を観たときも思ったけど、アニメだから映える演出ってあるはずなんですよね。「どっひゃー!」なんて派手に驚くオッサンとかが現実世界にいたら、単に痛々しいだけじゃないですか。国の未来を論じるようなセリフがやたら多いのも「パトレイバー」に通じていたな。監督が主義主張を作品に反映させるのはいいよ、でも映像作品なのにセリフに頼っているのは力不足でしょう。聞いてる人のことを考えてないような、やたら早口で話すセリフまわしも好きにはなれなかった。最後のクライマックスに至っては防護マスクをしながら喋ってるので、声がくぐもって何言ってるか聞こえないのだもの。高層ビルがまるまる倒壊した直後に作業車がガレキのなかを余裕で通れる都合のよさが認められるのであれば、主人公がゴジラを前にマスクを外す都合の良さも認めてほしかった。

周囲では絶賛されてるし、興行的にも大ヒットしていることを考えると自分のような意見は少数派なんでしょうが、まあ要するに監督の演出が自分の肌に合わなかっただけです。アニメに近い演出をしてるのはあくまでも監督が意図しているもの、と言われればそれでおしまいなのだけど、アニメから実写に移ってすぐホームラン級の作品を撮ったブラッド・バードなんかがいることを考えると、やはりアニメと実写の演出は異なるものだろうと思うのです。