低予算のファンタジー・コメディ映画。日本では「キラー・メイズ」の邦題で10月に公開予定。

週末を留守にしていたアニーがアパートに帰ってくると、同居しているデイヴが部屋の中心にダンボールで巨大な迷路をつくっていた。呆れたアニーは迷路のなかに入り込んでいるデイヴに出てくるように伝えるものの、デイヴ曰くこの迷路は外見よりも内部が巨大になっており、彼はそこで3日間閉じ込められたままだという。困ったアニーは友人のゴードンを呼び、さらにドキュメンタリー撮影のクルーや浮浪者、観光客なども部屋にやってきてしまう。しびれを切らしたアニーは、迷路の中に入るなというデイヴの警告を無視し、皆を引き連れて迷宮のなかに入り込むものの、そこは確かに巨大な摩訶不思議な空間が広がっており、さらに危険な罠が彼女たちを待ち構えているのだった…というあらすじ。

登場するダンボール製の迷宮は「アントマン&ワスプ」の冒頭に出てくるようなやつで、日本では高校の文化祭でクラスルームに作られそうなチープなもの。内部の壁もダンボールでできているようで、「レイダース」ばりに空飛ぶ刃が仕込んであったり、巨大な折り紙のツルが襲いかかってきたりと危険がいっぱい。そこで殺された人間は紙吹雪の血を撒き散らして死んでしまうのだ。

発想的には奇抜で悪くないんですよ。子供のごっこ遊びのイマジネーションをそのまま映像化した感じというか。ただじゃあ迷路が意味するものは何か?という説明ができてなくて、ただ中に入った人たちが迷路のからくりに翻弄されるさまが次々と映し出されるだけで、80分という尺ながらも少し冗長に感じてしまった。タルコフスキーの「ストーカー」までとは言わないが、迷路が登場人物の心理に与える影響みたいなものをもっと描くべきではなかったか。いちおうデイヴが今まで何も完成させたことがなく、それに対する気持ちで迷宮を作ったことや、デイヴとアニーの微妙な関係なども語られるものの、どれも話の本筋につながるものではなくて中途半端。もうひと捻り欲しかったなあ。これもっと面白くなった可能性は十分にあるのに。

監督の名前はビル・ワターソンだそうだけど「カルビン&ホッブス」の作家ではないです。長らく俳優をやってる人で、これが監督デビュー作らしい。出演者は比較的無名な人が多いかな。「REVIEW」のジェームズ・アーバニアクがドキュメンタリーの監督を、「REVIEW」のプロデューサーとほとんど同じ感じで演じてます。このドキュメンタリー、このご時世に4:3のアスペクト比で撮影してるのは何故なんだろう。あとはWWEのプロレスラーとかOK GOのベーシストとか、なんかよく分からない人たちが出演していた。

なおエンドクレジットでは「折り紙はここから寄贈された」と全米各地(?)の折り紙協会(そんなものがあるのか!)がクレジットされていて、折り紙の作成者の名前もずらずらと並べられている。そんなに折り紙が出てきたっけ?とも思ったけど、「ORIGAMI CREATED BY」というクレジットがある数少ない映画であることは間違いないだろう。


公開中なので感想をざっと。ネタバレ注意:

・まー気楽に観る分にはいい映画なんじゃないでしょうか?劇場にいながらも日曜洋画劇場を吹替で観ているような感覚に陥ってしまたよ。プレデターが出てきて、アクション満載で、ツッコミどころは多いのだけど楽しめる作品というか。観客が何を期待しているかは理解している作り方ですかね。

・その一方で、観客が本当に「プレデター」という作品に何を期待すべきなのか、ちょっと考えさせるものでもあった。「エイリアン」はリドリー・スコットが復帰したし、「ターミネーター」はシュワルツネッガーが復帰したことでフランチャイズとしての筋がそれなりに通っているかもしれないが、「プレデター」はそれがないので焦点がブレている気がするのよな(シュワはカメオ出演の依頼を断ったらしい)。

・でまあ今回は地球人にそこそこ友好的なプレデターが登場したり、プレデターと意思疎通ができたりという新展開が起きるわけだが、ジャングルで人を狩る謎の宇宙人、という第1作のコンセプトから遠く離れたものになったのは仕方ないことか。ただラストのあれはなー。「インデペンデンス・デイ」みたいにはなって欲しくないのです。

・初週の興行成績がさほど大きくなかったことと、シェーン・ブラックのキャスティングが物議を醸したことなどから、このままの監督とキャストでの直接の続編が作られる可能性は低いんじゃないだろうか?新作が企画されるころにはFOXとディズニーの合併も行われているだろうし、いちどフランチャイズを完全リブーとしても眉をひそめる人はそんなにいないんじゃないかと思います。

ちょっと長いフライトに乗ったので、機内で観た映画の感想をざっと。R指定の作品が多かったので、劇場版にくらべて内容がどの程度カット・編集されてるかはよくわかりません:

・「UPGRADE」:ジャンル映画界隈で話題のSFアクション。暴漢に妻を殺されて自分は四肢麻痺になった男が、首に実験的なコンピューターチップを埋め込まれて運動機能を取り戻し、自分を襲った者たちに復讐していくというもの。チップに身を任せることでケンカのプロとなるあたりがちょっとコメディっぽいけど、意外と真面目にSFしている作品ではありました。変に自動運転車のようなSFガジェットを出さず、もっと現代的な描写にしても良かったと思うけど。「ハードコア(・ヘンリー)」が好きな人なら楽しめるのでは。

・「クワイエット・プレイス」:アメリカでは大ヒットしましたけどね。被災地で音を立てずに歩くのなら裸足でなく分厚いスリッパ履けよ、とか電気はどこから持ってきてるの?といった設定の細かい点がなんか気になってしまった。ストーリーも捻りがあるかと思いきやそうでもなかったし。お金のかかった「トワイライト・ゾーン」の1エピソード、といった感じ。

・「LEAN ON PETE」:父親を失った少年が、殺処分されそうな競走馬を連れて遠くの親戚の家に行こうとする青春ロードムービー。批評家の評判が良いので観てみたけど、まあ普通のドラマといったところかな。スティーヴ・ブシェミにクロエ・セヴィニー、スティーブ・ザーン、エイミー・サイメッツといったインディペンデント映画の名役者がちょっとだけながらも顔を揃えているのは凄いんだけどな。

・「タリーと私の秘密の時間」:マニック・ピクシー・ドリーム・ガール(死語)の新たな発展系か?と思ってたらまさかの結末。うーん。この監督・脚本・主演なら「ヤング・アダルト」の方が良かったな。ロン・リビングストンはいつだって好きですが。


ジム・キャリー主演のSHOWTIMEの新作TVシリーズ。

主人公のジェフは「ミスター・ピックルズ」というキャラクターとして、30年にわたって「セサミ・ストリート」のような子供向け番組のホストを演じてきた中年男性。その番組は子供たちに絶大な人気を誇り、膨大な利益を生み出す一大ブランドに成長していた。その一方で実際のジェフの生活は決して楽しげなものではなく、妻とは離婚したばかりか双子の子供のうちひとりを交通事故で失ってしまう。番組でパペットを制作しているジェフの妹ディードラも、夫がゲイであるらしいことを知って気落ちしていた。ジェフとディードラの父親であるセブは番組のプロデューサーでもあって、公私ともにわたってジェフの行いを支配しており、番組で「死」をテーマにしようと望んだジェフの願いをにべもなく却下する。こうして仕事でも家庭でも追い詰められたジェフは徐々に正気を失っていく…というあらすじ。

SHOWTIMEに限らずHBOとかの有料ケーブル局のコメディ番組って、なぜかダウナーなノリのものが多いのだが、これもその1つ、というか内容が暗すぎてコメディ番組と呼んで良いのか…?SHOWTIMEはちょっと前にスティーブ・クーガン主演で「Happyish」というダークなコメディ番組を作ってまして、視聴率が稼げなくて1シーズンで打ち切りになってたりするのですが、これも大丈夫かな…?

とはいえ主演はジム・キャリーですからね。ジェフの頭のタガが外れていく演技は彼だからこそできるものがあって、今度それがエスカレートしていくのなら結構面白い展開になるかもしれない。さらにこれ監督とキャストがえらく豪華で、全エピソードの監督は「エターナル・サンシャイン」でキャリーと絶妙なコンビを組んだミシェル・ゴンドリー。第1話を見た限りではゴンドリーっぽい奇妙な描写は少なかったけど、ジェフの住んでいるアパートの住人が両手にペットボトルをくくりつけている、というのがそれっぽいかも。

キャストはジェフの父親のセブ役にフランク・ランジェラで、妹のディードラがキャサリン・キーナー。ジェフの元妻で、なんかちょっと育児疲れしているようなジルの役は、最近どの映画でもちょっと育児疲れしているような母親の役ばかり演じているジュディ・グリアー。あと第1話ではコナン・オブライエンとダニー・トレホが本人役でちょっと出ていました。このように鉄壁の監督とキャスト陣だが、クリエーターが「WEEDS」のデイブ・ホルステインだというのがちょっと不安だな。かれ最近はHBOの「BRINK」がコケているので。

何にせよ「エターナル・サンシャイン」以来のジム・キャリーとミシェル・ゴンドリーのコンビというのは多くのファンが待っていたものだろうし、大化けしてくれることに期待。


夏休みの終わりに公開するあたり、日本では期待されてないんだろうなあ。公開中なので感想をざっと:

・まあこんなものかな?マイケル・ダグラスがフル活動している分、前作よりも良かったかも。ただ登場するキャラクターが増えたことによって話が散漫になったような感も否めない。ウォルトン・ゴギンズとか好きだけど、悪役を2グループにしてアントマン側と三つ巴にする必要なあったのか。

・話の展開も場面の切り替えが多くて、それによって話の勢いが削がれていたような?それぞれの場面のオチがきちんとついてればまだメリハリがあったのだろうけどね。例えば学校のシーンとか、もうひとヒネリあってもよかったんじゃないかと。

・悪役は前作の弱い部分だったので、今回はゴーストという強力な敵を持ってきたのは正解かと。その一方で、彼女の悩みを最初から明かしたことで、あまり強そうにも思えなくなったけど。もうちょと原作のような不気味キャラで引っ張っても良かったのでは。

・役者はみんないいですね。北の将軍様ことランダル・パークが出てたのが個人的にはツボだった。ブライアン・ラスキーはまだしもティム・ハイデッカーがチョイ役で出てたのには驚いたな。

・「インフィニティ・ウォー」にあわせどんどん話が大きくなっていくマーベル・ユニバースにおける一種の清涼剤、という見方はあまり同意してなくて、あくまでもマーベルが繰り出す作品の1つではありますが、ラブコメの要素もあるし、気軽に楽しめる映画かと。ただ次の作品はちょっと登場人物減らしたほうがいいと思う。