映画化もされたスティーブン・キングの小説のTVシリーズ版で、放送局はSpike。

まあ設定はご存知のように、謎の濃霧がメイン州(where else?)の田舎町を覆い尽くすようになり、それと同時に怪現象が起きるようになって住民が殺されていくというもの。ただし登場人物はみんなオリジナルの設定になっているみたい。第1シーズンだけでも10話あるので話の展開はやたら遅く、第1話では後半になって濃霧が出てきて、ゴキブリが人を襲うような描写はあるもののクリーチャーなどは登場せず。あとこちらの濃霧は人を狂わせる(記憶喪失にさせる?)効力を持っているみたい。

登場人物は性教育を教えたことで学校をクビになった女教師とその夫、彼らの娘でパーティーでデートレイプされたらしき少女、そのゲイの男友達などなど。あとは保安官とそのジョックなアメフト息子とか、霧のなかから現れて記憶を失っている兵士、他界した町の住人の友人だという謎の女性などが出てきます。性教育を敵視する保守的なママさんが、映画版の宗教おばさんみたいな役回りになるのかな、と思いきや警告を無視して外出して真っ先に殺されておりました。

ショッピングモールに閉じ込められた母親と娘、警察署から外に出た教師の夫と保安官たち、あとは夫を霧から出てきた男に殺された老婆という3チーム(?)が主体になって話が進んでいくのかな。保安官や兵士がいるあたり「ウォーキング・デッド」っぽい展開になるかもしれないが、いかんせん謎のキャラクターが多くて今後の展開はよく分かりません。

登場する役者はモーガン・スペクターとかアリッサ・サザーランドとか、よく知らんなあ…。このあとイザイア・ウィットロック・ジュニアが登場するみたい。

話の設定はやはり面白いと思うものの、基本的にこの作品は密室劇であるわけで、何エピソードも話を引っ張ることってできるのかな?スモークを炊いたセットで撮影してるだけなので製作費は安くつきそうだけどね。


日本でも来月映画祭で公開されるのかな?題名から若き女性が下着姿でくんずほぐれつするような内容を期待してはいけないよ。中年のオバハンふたりが殴り合うという映画。

ニューヨークの裕福な家庭に暮らすベロニカは、パーティーの場でバーテンダーとして働くアシュリーに再開する。かつて二人は同級生だったのが疎遠になり、アシュリーは画家を目指しながら貧乏暮らしをしていたのだ。身分の違う二人の会話はすぐにぎこちないものとなり、二人だけになった場では些細なことから殴り合いになってしまう。アシュリーのパンチをくらって階段から転げ落ちたベロニカは昏睡状態になり、2年間も病院で眠ることに。そして目を覚ました時、彼女は財産を失って無一文担っており、逆にアシュリーは絵画の腕前が評価されて売れっ子のアーティストになっていた…というあらすじ。

ベロニカ役にサンドラ・オー、アシュリー役にアン・ヘッシュ。助演にアリシア・シルバーストーンで、あとはディラン・ベイカーとかピーター・ジェイコブソンなんかが拘束時間半日といった感じでちょっと出演してます。

ストーリー的にはこの後アシュリーも痛い目に遭うわけですが、なんか中身がスカスカで95分の尺ながらもすごく間延びした印象を受ける。これFunny or Dieの30分くらいの短編だったら面白かったのでは。いちおうアメリカの医療保険の風刺とか、海外で戦争しかけて派兵していることへの皮肉なんかが込められているものの、どれも中途半端でピンとこないな。

むしろ元レズビアンのヘッシュにレズビアンの役をやらせたり、ヒッピーまがいの育児本を出して論議を呼んだアリシア・シルバーストーンに、ヒッピーまがいの育児にこだわる母親(赤ん坊にはwifiの電波や、中国製の玩具を近づけない)を演じさせるなど、かなりエグいキャスティングをしてるのが面白かったのですが、これどこまで意図的に配役したんだろう。

また劇中で3回くらいある格闘シーンは、どれも典型的なハリウッド風のケンカというか、全体的に凡庸で目新しさはなし。「ゼイリブ」みたいに時間配分を無視して延々と続けるとか、個人的に映画至上もっとも痛々しいケンカだと思ってる「ゆきゆきて、神軍」の素人同士の取っ組み合いのような、生々しさを感じさせる出来になってたらもっと面白かったと思うんですけどね。

というわけであまり出来の良い作品ではありませんでした。うーん。


原題は「The Girl with All the Gifts」で日本では7月公開。これマイク・ケアリーの小説が原作なのですね。ケアリーといえばコミックのライターとしてDC/ヴァーティゴの「ルシファー」のストーリーを担当してたり、ファンのあいだでは評価の低いポール・ジェンキンズのあとを継いで「ヘルブレイザー」を担当して人気を復活させたという人だが、俺はそんなに作品を読んだことがないかな。以降はネタバレ注意。

舞台となるのは近未来。謎の真菌類が世界中に蔓延し、それに感染した人々はゾンビ化して生身の人間の肉を喰らう怪物となっていた。生き残った少数の人間は軍事基地に避難してゾンビの侵攻に耐えていたが、ゾンビ化した母親から生まれた子供たちは、人肉への食欲を持ちながらも、高い知性と学習能力を備えていることが判明し、彼らを用いてゾンビ化に対するワクチンの研究が進められていた。子供たちの中でも特に高い知性を示した少女メラニーは教師のヘレンと仲良くなるものの、基地がゾンビたちによって陥落。メラニーとヘレンはワクチンを研究していた博士や数人の兵士とともに基地を脱出し、他の基地に合流しようとゾンビたちの蔓延するイギリス本土を旅することになるのだった…というあらすじ。

劇中のゾンビたちは「ゾンビ」ではなく「ハングリーズ」と呼ばれ、通常はじっと立った休眠状態でいるものの、匂いや音に過敏に反応し、人肉(動物もあり)を嗅ぎつけると全速力で追いかけてくるという存在。アリに寄生して行動を変化させる実在の真菌類をモデルにしてるのかな?彼らに噛まれると当然自分もハングリーズになります。

話の中心となる少女メラニーは第2世代のハングリーズとして人肉への渇望を抱きつつ、ヘレン先生たちを安全地帯へ導こうとする存在だが、彼女を研究対象とみなす博士や、彼女を怪物扱いする兵士たちとの葛藤が道中で描かれていく。イギリス作品のせいか、アクション中心のゾンビ映画というよりも、「28日後…」みたいなアートシネマっぽい描写もあり。

メラニーを演じるのは新人のセニア・ナヌマで、ヘレン先生をジェマ・アータートンがノーメイクで演じてます。兵士たちのリーダー役がパディ・コンシダインで、基本的に彼が出ている作品はハズレがないですな。あと観るまで知らなかったのだが、博士役にグレン・クローズ。今になって彼女をイギリスのゾンビ映画で見かけるとは思わなかったけど、体をはった熱演をしていて、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」よりもずっといい役でした。

監督のコーム・マッカーシーはテレビ番組のを監督を多数手がけてきた人で、これが初の劇場作品だとか。チェルノブイリの上空をドローンで空撮した映像を荒廃したロンドンの光景に使用したりと、大変な低予算作品ながらもいろいろ効果的なショットが用いられています。終盤のBTタワーとか非常に良かったですね。

非常に革新的というわけではないものの、ゾンビ映画に新しい観点を加えた良作。SF映画としても楽しめるし、ゾンビ作品に食傷気味の人でも楽しめる作品ではないでしょうか。


フランスの若手女性監督によるホラー映画。

厳格なベジタリアンの家庭に育った少女ジャスティーンは、かつて両親が学び、そして姉も学んでいる全寮制の獣医大学へと入学する。そこで彼女は新入生に対する上級生からの熾烈な入学の儀式を体験させられ、その一環としてウサギの肝臓を食べさせられるのだった。初めて肉の味を経験した彼女は全身に湿疹ができるものの、肉に対する強烈な食欲を感じるようになる。さらにゲイの男性であるルームメイトにも性的な興味を抱くようになり…というあらすじ。

トロント映画祭では上映中に失神者が出たとかで話題になったが、そこまでグロい描写はないかな。思春期を迎えたオクテの少女が、自らの内側に潜んだ欲望を露わにするとともに肉体的な変化を遂げていく、という「キャリー」や「ブラック・スワン」に通じるアート系のホラーといったところ。フランス映画ということもあり「顔のない眼」に近いものを感じました。

監督はしれっとインタビューで「これホラーというよりコメディだから」とか言ってるけど、音楽の使い方がそんな感じだったかな。過激なシーンにちょっと軽快な音楽がかかるところとか。

(ほぼ)新人俳優のガランス・マリエールが演じる無垢な少女ジャスティーンは友達もいないまま大学のなかにひとり残され、自分の欲望に身をゆだねていくわけだが、その彼女を導くのが、よりハードコアな容貌と生活をしているお姉さんのアレクシアで、彼女はジャスティーンにファッションの手ほどきなどを与えると同時に、自分の欲望を受け入れるさまを教えていく。

お姉さんというエクストリームな体験の先駆者がいることで、ジャスティーンが経験する変化の衝撃が薄まったような印象も受けたわけで、むしろお姉さんのキャラはいらなかったんじゃね?とも思ったが、彼女の存在がラストの強烈なオチにつながっているのでありました。

海外での評判が大変よかったために、期待していたほどの内容ではなかったけれども、よく出来た作品ではありますよ。ホットドッグとか食べながら鑑賞しましょう。


米ショウタイムの新作シリーズ。放送は今週末からだが第1話がオンラインで先行配信されていた。

舞台となるのは70年代のロサンゼルス。若手スタンダップ・コメディアンのクレイはコメディアンの登竜門であるジョニー・カーソンのトゥナイト・ショーに出演することとなり、さらに披露した芸がウケて、コメディアンの羨望の座であるカーソンの横の席へ招かれる。こうして一夜にして成功を手にしたクレイだったが、その晩にホテルから外出したところをバスにひかれて即死してしまう。あとに残された彼の友人や恋人たちは突然の出来事に唖然としつつも、彼の通夜の手配を行い、やがてクレイの両親や、彼にたまたま会いに来ていた故郷の友人、さらには彼と面識がないもののコネをつくろうとやってきた者たちが通夜に集まるのだった…というのが第1話の展開。

これだと話がよく分からないかもしれないが、成功を夢見るコメディアンたちの群像劇といったところ。カーソンの番組への出演を夢見る彼らは、まずサンセット・ストリップのコメディ・クラブ「ゴールディーズ」での出演の場を求め、貧しいながらも切磋琢磨していく。コメディアンの番組であってもコメディ番組ではなくて、彼らの暗い側面も描かれるみたい。そもそもクレイの事故死が実は自殺ではないかということが示唆されるのだが、その話はどこまで引っ張られるのかな。

自らの体に火をつけたリチャード・プライヤーに象徴されるように、アメリカの(そしておそらく世界中の)コメディアンってステージ上では面白おかしいことを言ってても心の内ではすごくドロドロしたものを抱えているというのが通説であって、そういう暗さとコメディのバランスをどうとっていくのだろう。

また劇中では観客が大爆笑しているはずのネタが、実際の視聴者にはお寒い内容だったということもよくあるので(STUDIO 60 ON THE SUNSET STRIPな)、コメディをテーマにした番組って常に一定の評価を得ながら続けていくのは結構難しいんじゃないだろうか。

なお同名のノンフィクション本があって、それをもとにしたシリーズらしい。70年代のロサンゼルスといえば無名時代のデビッド・レターマンやロビン・ウィリアムス、ジェイ・レノをはじめとするコメディアンたちが多数集まって、スタンダップ・コメディの黄金時代を築いていたそうな。プロデューサーにはジム・キャリーも関わっていて、彼の自伝的な内容ではないものの、地方から出てきた若者が家賃が払えずにクローゼットで寝泊まりしている設定などは彼の経験をもとにしているとか。

出演者はゴールディーズのタフな女性経営者を演じるメリッサ・レオをはじめ、クラーク・デュークやアルフレッド・モリーナ、アル・マドリガルなどなど。あとはゲストでロバート・フォスター、セバスチャン・スタン、ディラン・ベイカーなども出ています。

第1話を観た限りでは話の方向性が定まってないようで、70年代のカルチャーを背景に若者たちの話がダラダラ続くんだろうか。雰囲気的にすぐ終わった同局の「ROADIES」に近いものがあって一抹の不安を感じますが、ショウタイムはこないだの「ツイン・ピークス」シーズン3(大傑作!)で加入者が増えたそうなので、その人気にあやかって長続きすることに期待。