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アメリカでも今夜初放送ですが、某所で第1話を観てしまったので。日本でも近日やるそうな。

原作のファンだというセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグが頑張ってシリーズ化にこぎつけた作品だが、内容はコミックと結構変わってたりもする。チューリップが黒人になってるのはいいとして、キャシディはサングラスをよく外すし、吸血鬼を狙う組織?に追われているという設定みたい。またロードムービー的な要素が無くなっていて、主人公のジェシー・カスターは地元の町で牧師の業務を続け、彼の能力を狙った天使たちが町にやってくるというような内容になっている。まあ第1話ではセイント・オブ・キラーズやザ・デュークといった主要なキャラクターも出て来ないわけだが、さすがにジェシーが生まれた農場とかには旅するよね…?

まあこれだけ原作と違うとそれなりの不安を抱いてしまうわけですが、上記したように原作を熟知してる人たちが製作に関わってるわけで、まあ原作のエッセンスは保存されてる、ということに期待しましょう。キャシディの度を越した暴力描写などは原作に近いし、テレビ映えもするかと。あとはアースフェイスが特殊メークによって見事にアースフェイスなのですが、こちらはテレビ映えしないだろうな。

主役を演じるドミニク・クーパーはかつて「エージェント・カーター」でハワード・スタークを演じてたりしたが、ジェシー・カスターの雰囲気(ちょっと切れ長の目とか)をうまく出していていい感じ。キャシディ役のジョセフ・ギルガンは「パレードへようこそ」などにも出てたが、もともと「ミスフィッツ」とかでサイコな役を演じてたのですね。チューリップ役のルース・ネガもアイルランド育ちということで、主役3人はみんなアメリカ人ではないのか。

同じ局の「ウォーキング・デッド」に比べ、原作を知らないととっつきにくい部分が多々あるため、あれほどのヒットにはならないと思う。とはいえそれなりに話題になって、ガース・エニスの他のコミックが多くの人の目に触れられることを期待します。

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「ウォーキング・デッド」が大成功して、いまやコミック・ライターというよりもハリウッドの売れっ子という感の強いロバート・カークマンのコミックを原作にしたシネマックスの新シリーズ。おれコミックは第1話だけ読んだけどあまり覚えてないな…。最初のエピソードが放送前にyoutubeなどで公開されたのだが、オープニング・クレジットで「エグゼクティブ・プロデユーサー」「原作者」「クリエーター」「脚本」と4回続いてカークマンの名前が出てくるのを見ると、ロバート・カークマンというのが一つのブランドになったということを実感しますね。

舞台となるのはアメリカの片田舎のロームという町。カイル・バーンズは妻子の元を離れてこの町の実家に戻り、近所に住む妹(姉?)の半ば強制的な援助を受けつつ、廃屋と化した家に一人で籠っていた。しかし町の少年が悪魔に取り憑かれ、アンダーソン神父が悪魔祓いを試みているという話を耳にした彼は、神父を助けるために少年の住む家に向くのだったが…というようなあらすじ。

カイルは悪魔を退散させることのできる能力を持っていることが示唆されるのだが、ジョン・コンスタンティンみたいに手際よく魔術を行うわけでもなく、なんか戦ってるうちに悪魔が去っていく、みたいな感じ。カイルの母親や妻もかつて悪魔に憑かれていたという事実や、悪魔たちが何か大きな出来事を画策しているようなことが仄めかされるものの、ここらへんは話を追って明らかにされていくのでしょう。

カイルを演じるのは「あの頃ペニー・レインと」のパトリック・フュジットで、アンダーソン神父役は「Life on Mars」のフィリップ・グレニスター。彼がアメリカの番組に出るのはこれが初めてかな?あとはレグ・E・キャシーなんかが出てます。エンドクレジットにはザ・キュアーの曲が使われてるがなんか似合わなかった。

今年は「エクソシスト」もテレビシリーズ化される予定だが、こっちのほうが有料ケーブル局なので過激な描写が多いのかな。冒頭から子供がゴキブリをむしゃむしゃ食べたり、悪魔に憑かれたことで大人にビシバシ殴られたりと、なかなかしんどい描写があります。全体的に手堅い作りになっているものの、映画のほうではこういうエクソシズムものが流行ってるわけで、あまり目新しさは感じられなかったな。「ウォーキング・デッド」並みのヒットになるとは思えないが、とりあえず今後の話の展開次第では面白くなる可能性もあるんじゃないかと。

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53歳。アメコミの巨匠がまた一人、しかも急にまだ若くして帰らぬ人となってしまった。

彼のブログが奥さんによって更新され、ガンの治療中であるという事実が公表されたのが一昨日くらいのこと。「aggressive cancer」という表現に不安を感じたものの、カナダ人なのでまっとうな治療を受けられるのではないか、それまで彼の本を買って何かしらの援助ができるかな、と思っていたら、昨日になって他界したとの報が入ってきてしまった。残念。

俺が彼の作品に触れたのは2004年くらいのこと。その前にもしかしたらアニメ版「バットマン」で彼の仕事を目にしていたかもしれない。当時は「DC: The New Frontier」がミニ・シリーズとして出版されていて、良い評判は聞いていたもののアブストラクトな表紙のせいか手にとって読んだりはしなかったのですね、しかしその後ニューヨークでペーパーバック版をふと立ち読みしたところ、その簡潔で力強い線、アメリカの公民権運動の時代を背景にゴールデン・エイジとシルバー・エイジのヒーローたちが共闘していくそのストーリーに大ショックを受けまして、やたらと重いアブソルート・エディションを帰国後に速攻で買いましたよ。トロントで彼に会う機会があったものの、講演時間を知らずに逃してしまったのが悔やまれる。

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彼が描く女性の画も俺の好みだった。

またそのスタイルから、どうしても明朗なスーパーヒーローもののイメージが強いが、「The New Frontier」ではきちんと人種差別などの問題も描いていたし、ドナルド・ウェストレイク(リチャード・スターク)の小説「悪党パーカー」シリーズのファンとして晩年のウェストレイクとコミック化について共同作業を行い、今まで小説以外では「パーカー」を名乗ることが認められなかった主人公の名前を、原作者のお墨付きでパーカーとすることができたのもクックの功績である(ジェイソン・ステイサムの映画「パーカー」が出たのはウェストレイクの死後)。タフで感情を見せない主人公パーカーのハードボイルドな雰囲気を、限られた色調で彼は見事に描き出していた。
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最近ではヴァーティゴの「The Twilight Children」のアートも担当していたし、ハンナ・バーベラもののアートを描いていたので、これからも精力的に活動を続けていくんだろうなと思っていた矢先での死去は大変悔やまれる。合掌。
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Houdini & Doyle, Season 1
ITVの新シリーズ。ミニシリーズ扱いになるのかな?

舞台は1901年のロンドン。シャーロック・ホームズを「最後の事件」で葬って、ボーア戦争に関する執筆を行っていたアーサー・コナン・ドイルは、修道院で幽霊による殺人が行われたとの新聞記事を目にし、これこそ心霊が存在する証しだとして警察署にやってくる。しかし一方ではロンドンで公演中のハリー・フーディーニも事件のことを知り、幽霊はトリックだということを示すために警察に来ていた。警察に迷惑がられた彼らはお目付け役として女性刑事のストラッットン刑事をあてがわれ、お互いが正しいことを証明するために事件の調査を始めるのだが…というあらすじ。

コナン・ドイルということで「SHERLOCK」みたいなブロマンスのミステリーものを期待する人もいるかもしれないが、ここのドイルは心霊現象に傾倒しているという設定なので(本格的にハマったのは第一次大戦後だったと思うが)、物的証拠をもって生身の犯人を突き止めるのではなく、何でも心霊のせいにしてしまう人物という設定になっている。しかし当然ながら「殺人は幽霊のせいでした!」というオチにするわけにもいかないので、結局は自分のミスを認めるという損な役回りになっているかな。

対するフーディーニは実際にインチキ霊媒師のデバンカーでもあったから心霊現象にはすべて懐疑的で、あくまでも合理的に事件を捜査していくのに加え、錠前を開けたりするのも朝飯前、というカッコいい役になっている。ほかに実在の人物としてはチャーチルやイェーツなどもチョイ役で出てきてたが、今後はエジソンやブラム・ストーカーなんかも登場するとか。

フーディーニを演じるのが「HOUSE」のマイケル・ウェストンで、ドイル役が「EPISODES」のスティーブン・マンガン。「EPISODES」ってまだアメリカで撮影が終わってないんじゃなかったっけ?あとはあまり有名な役者は出てないみたい。

さすがにドイルが毎回ミスをしているようでは示しがつかないから、あとのエピソードではもっと心霊的な要素が増えてくるのかな?心霊現象にハマったあとのコナン・ドイルって例の妖精写真などであまり評判が良くない印象があるけど、個人的には唯物論者の科学者であるチャレンジャー教授がラストで霊魂の存在を認めることになる「霧の国」とか結構好きなので、うまーくスーパーナチュラルな要素を絡めてほしいところです。

High-Rise
J.G.バラードの1975年の小説を映像化したもの。

舞台となるのはロンドン郊外に建てられた40階建ての高級タワーマンション。スーパーマーケットや学校、スイミングプールなどを内部に完備したその建物の25階に、主人公の医師ロバート・ラングは新しく引っ越してくる。奇しくもマンションの各階は住人の社会的地位を反映しており、無骨なテレビカメラマンのリチャード・ワイルダーたちは低い階に住み、富裕層の住人たちは高い階に住み、そして最上階のペントハウスにはマンションの設計者であるアンソニー・ロイヤルが住んでいた。当初こそ住人たちは秩序良く生活を営んでいたものの、やがて頻発する停電などによって鬱憤がたまっていき、マンションが1つの隔離された世界となって混沌の渦へと巻き込まれるのであった…というあらすじ。

おれ原作を読んだのはもう20年くらい前(こんど復刊されるみたいね)なので詳細はあまり覚えてないものの、ラングが廃墟と化したマンションで犬の肉を食いながらそれまでの経緯を振り返る冒頭から最後まで、原作にはかなり忠実な内容になっていたと思う。監督のベン・ウィートリーの作品を観るのはこれが初めてですが、いささかコテコテな暴力描写などが、どことなく突き放した感のあるバラードの文体をうまく補完できていたのではないか。高層階の住人たちが揃いのスポーツウェアに身を包んで下層階を襲撃する光景に、バラード後期の「スーパー・カンヌ」(だったか「コカイン・ナイト」だったか)との共通点を感じてしまったよ。

話が設定されている年代は明言されていないが、おそらく原作と同じ70年代。よって携帯電話やパソコンなどは登場せず。「クラッシュ」もそうだったがバラードの話は無理に現代に持ってこないほうが良いと思う。70年代のファッションや建築のデザインが話にうまく合っている一方で、40階のタワーマンションって今となってはあまり高くないよね、とつい思ってしまう。原作読んだときは「プールが途中の階にあるマンションなんて作れるのか!」と驚いたけど、それも今ではそんなに珍しくないものかと。ただ現在のように40階以上の高層マンションができるようになると、上層階と下層階の価格差がより激しくなり、それが住人の資産格差などに直結して管理組合でイザコザが起きるケースが日本でもあるようで、そういった意味ではレトロながらも現代に通じるテーマをもった作品である。

主人公のラングを演じるのがトム・ヒドルストン。裸のサービスショットも多いですよ奥さん。ただ劇中ではいちばん「普通の人」という役回りなので、肉体派で暴力的なワイルダーを演じるルーク・エバンズのほうがおいしい役になっているな。対する高層階の住人にジェームズ・ピュアフォイなど。最上階のアンソニー・ロイヤルはジェレミー・アイアンズ。ロイヤルってもっと偏狭なマッド・サイエンティストみたいなキャラクターかと思っていたけど、ラングと並んで最後まで正気を保とうとする人物を好演している。女性陣ではシエナ・ミラーやエリザベス・モス、キーリー・ホーズなどが体を張った演技を見せてくれます。音楽はクリント・マンセルが担当していて、いつもの彼の音楽よりもギターやストリングスが多用されているかな?アモン・デュールやアバ、ポーティスヘッドなどの曲も使われていて、最後にザ・フォールを持ってくるのは、分かってるなあと。

これで「クラッシュ」「ハイ・ライズ」と映画化されたら残るはやはり「コンクリート・アイランド」なわけで、一時期はクリスチャン・ベールが映画化するなんて話もあったらしいけどね。あれは日本を舞台にしても十分成り立ちそうだと考えているのだが、どうでしょう?