「Awkwafina Is Nora from Queens」鑑賞

「クレイジー・リッチ!」「ジュマンジ」「フェアウェル」と出演する映画はみんなヒットして破竹の勢いを誇るオークワフィナ嬢が、弱小ネットワークのコメディ・セントラルでシットコムの主役を務めることになったのだよ。

内容はタイトルそのまんまで、クイーンズに住むノーラという20代の女性を演じるのがオークワフィナ。ノーラは父親と祖母と同居してるのだが定職につかず、UBERのドライバーとかやりながらのらくらと暮らしている毎日。決して悪い人間ではないのだが、自分のズボラさなどが災いしていろいろトラブルに巻き込まれ…というような話。

コメディ・セントラルの番組らしい緩さがあるというか、ちょっとスケッチ・ショウ的なノリもあるかな。パイロット版がYoutubeで公開されているほか、先行公開された第6話を観たのだけど、父親と祖母の設定が少し変わってて、どちらも本編では少し真面目なタイプになっているみたい。下ネタもいろいろ出てきまして、第6話は股間を蹴られたノーラが四六時中QUEEFすることになってさあ大変…という話でした。おかげでQUEEFなんて言葉を覚えてしまったよ。

ちょっとボケた祖母を演じるのが「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のロリー・タン・チン。ノーラに手を焼く父親を演じるのがBD・ウォン(老けない)。第6話ではゲストとしてみんなのミン・ナ様(若返ってる)が叔母役で登場してました。

パイロットでは少し中国語の会話が出てきたり、中華料理屋で食事してたりしたけど、それ以外はアジア系アメリカ人としてのアイデンティティを強調するような描写は何もなし。みんな普通に白人や黒人やヒスパニックと交流して、ドタバタしてます。ここらへんも最近のハリウッドにおけるアジア系の台頭が反映されてるんだろうな。決して抱腹絶倒するような番組ではないけど、早くもシーズン2の製作が決まったらしいので、オークワフィナのさらなる人気拡大に貢献してほしいところです。

「DRACULA」鑑賞

BBCのミニシリーズ。Netflixでもすぐ配信されるそうなので、日本でもやるかな?タイトルの通りブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」を「SHERLOCK」のスティーブン・モファット&マーク・ゲイティスが脚色したもので、90分3話というフォーマットも「SHERLOCK」っぽいな。

話の序盤は原作に比較的忠実で、トランシルバニアの古城に招かれたイギリス人弁護士のジョナサン・ハーカーはそこでドラキュラ伯爵に出会う。ドラキュラは夜にしか姿を表さないものの、ハーカーは城に実質的に幽閉され、そこで数々のおぞましいものを目にする。そして最初は老人の姿をしていたドラキュラは日増しに若くなっていき、代わりにハーカーは生気を失っていく。ドラキュラがただならぬ存在であることに気づいたハーカーは、どうにか城を脱出しようとするのだが…というあらすじ。

原作ではハーカーの脱出劇って全体の5分の1くらいの長さだが、ここではまるまる1話が彼の話に費やされ、ハンガリーで保護されたハーカーが、ふたりの修道女を前に、城で何が起きたのかをフラッシュバックで語っていく形式になっている。ここらへんから番組オリジナルの脚色が入ってきて、「SHERLOCK」のごとき謎解きの要素も加わってくる。あとついでに言うと登場するクリーチャーは「ドクター・フー」っぽいかな。

原作はドラキュラが徹底した悪として描かれ、その悪巧みが書簡や手記の形式でだんだん明らかになっていき、最後のイギリスからトランシルバニアまでの怒涛の追跡劇につながる流れが手に汗握る展開になっていて大変面白いのだが、これにおいてもドラキュラは不敵な存在として登場し、ハーカーを愚弄し、彼に立ち塞がる者たちを翻弄しながら、自分の望むものを手に入れようとする。尤も彼の目的が「イギリス人は知的なのでイギリスに行って血をたくさん吸いたい」だというのが、最近のブレグジット騒動とか見てると、ホントかよ?とも思うがまあいい。フランシス・フォード・コッポラの劇場版なんかは原作に忠実なようで、最後はドラキュラが「愛のためなら死ねる男」みたいになっててえらく興醒めだったが、今回のドラキュラは狡猾かつ大胆不敵で怖いっすよ。バイセクシャルだということが示唆されるのがちょっと論議を呼んでるみたい。

そんなドラキュラに比べてジョナサン・ハーカーはいろいろヒドい目に遭って、すごく可哀想なキャラクター。当然彼のフィアンセのミナ・マーレイが登場するほか、ハンガリーの修道女シスター・アガサが原作以上に大きな役回りになっている。

ドラキュラを演じるのは「ザ・スクエア 思いやりの聖域」のクレス・バング。体じゅう血まみれになってオオカミから変身したりと、体をはって熱演しています。あとはそんなに有名な俳優は出ていないかな?

かなり血なまぐさいシーンもあったりして、ここらへんはホラー好きのマーク・ゲイティスの本領発揮なのだろうが、決して安直なスプラッター描写などにはならず、ストーリーを引き締めるためのものになっているのが流石。第1話は、え、そこで終わるの?という結末だったので、あとの2話がどういう展開になるのかは全く予想がつかないのですが、期待以上に楽しめる娯楽作品だったので残りを観るのが待ちきれない。

「HIS DARK MATERIALS」鑑賞

BBC & HBOの新シリーズ。フィリップ・プルマン原作の「ライラの冒険」シリーズの映像化で、あれって第1作「黄金の羅針盤」がすでに映画化されて大コケしたはずなのだが、それでも再映像化されるということは原作に根強い人気があるのででしょう。なお個人的には小説も映画も読んだこと観たことありません。

舞台は架空のイギリスで、空には飛行船が飛び交い、それぞれの人間にはダイモンと呼ばれる分身が動物の姿をとってつきまとっていた。世界はマジステリアムという強力な教会組織によって支配されていたが、その支配が届かないオックスフォード大学のなかで育って少女ライラは、叔父の冒険家アスリエル卿が発見した謎の粒子「ダスト」の存在を知る。さらに彼女の近辺では子供の誘拐が相次ぎ、親友までもがさらわれたライラは、事件を解決するために冷酷な女性ミズ・コールターとともにロンドンへ向かうのだった…というあらすじ。

第1シリーズで原作の1巻目をカバーする形になるのかな?いろいろ興味深いシーンも出てくる一方で、話の設定に時間を割いていることもあり、第1話は比較的地味な感じがしました。これから武装した北極クマとかが出てきて、派手な展開になるのかな?あと劇中の「教会」の描写が反キリスト教的だとして、原作や映画は批判されたようだけど、今回のシリーズ版ではどのくらい(反)宗教色を打ち出してくるのだろう。

キャストはライラ役に「ローガン」のダフネ・キーン。「ローガン」ではあまりセリフのなかった彼女がこちらではペラペラ喋ってるのに当初は違和感を感じたが、無難に役をこなしてます。あとはアスリエル卿にジェームス・マカヴォイでミズ・コールター役がルース・ウィルソン、他にもクラーク・ピーターズやリン・マニュエル・ミランダなどかなり強力な出演者が揃ってます。ダフネ・キーンの父親やマカヴォイの元妻なども出ているあたりは、イギリスの役者は血縁関係者が多すぎるだろ、という気にもなりますが。

まあ自分は原作を知らないので、今後の展開を普通に楽しめるんじゃないかと。「ゲーム・オブ・スローンズ」並のヒットになるかは分かりませんが、キャストの豪華さだけでも観る価値はあるでしょう。

「WATCHMEN」鑑賞

HBOの新シリーズで、原作はアメコミの金字塔「ウォッチメン」な。原作者のうちデイブ・ギボンズはコンサルタントとしてクレジットされてるが、アラン・ムーア御大は例によって名前も載ってません。原作とは殆ど別物になってるので作品の世界設定を箇条書きにすると:

  • アメリカはドクター・マンハッタンの助けによりベトナム戦争で勝利し、ニクソン大統領は8年以上の長期政権を樹立。それを継いだロバート・レッドフォード(役者の彼な)も長期に渡って大統領を務めている。
  • よって政権は概ねリベラルで黒人への待遇も手厚いのだが、それに反発する白人至上主義者の団体「セブンス・キャバルリー」のメンバーたちはロールシャッハのマスクを被り、テロ行為を行っている。
  • 警官たちの個人攻撃が多発したことを受けて、警官たちは顔を隠すために黄色いマスクを被っている。また独自のマスクをつけたビジランテたちも警官に協力してロールシャッハたちと戦っている。
  • ドクター・マンハッタンは火星に移住した。エイドリアン・ヴェイト(オジマンディアス)は死んだと見せかけ、田舎の城に隠居している。

…といったところ。まだ第1話の段階なので多くのことが明かされないのだが、いちおうコミックの出来事のあとの話、ということになるのかな?原作のクライマックスであるイカ状エイリアンの襲撃はあったらしく、その影響か空からイカが降ってくる謎の気象現象にも世界は見舞われているみたい。

そして話の舞台になるのはオクラホマのタルサという都市で、1921年に人種暴動が起き、アメリカ政府が自国民に空爆をしたという過去を持つところ。そこに住むアンジェラはベトナム育ちの元警官だが、夜にはシスター・ナイトというイジランテになって警察署長のクロウフォードに協力してロールシャッハたちと戦っている。

タルサの暴動のシーンで幕を開け、白人至上主義者との話を中心に持ってきているあたり、最近のBlack Lives Matterのような社会運動をテーマにしているのはわかるのだが、意外にも警察は黒人にもビジランテにも協力的な存在になっていて、上司の承認がなければ銃も使用できないという立場。それに対してロールシャッハたちは人種差別を唱えるテロリスト団体なのだが、ここらへんは話が進むにつれていろいろ入り組んでくるのでしょう。

脚本およびクリエーターは「LOST」のデイモン・リンロフ。原作とはまったく別の代物になっているけど、ザック・スナイダーの劇場版が原作に変に忠実になろうとして結局ダメダメだったことを考えると、むしろ同じくムーア原作の「リーグ・オブ・レジェンド」みたいに好き勝手やったほうが面白くなるんじゃないかと。とはいえ原作コミックにインスパイアされたシーンは多数出てきて、自殺用の青酸カリとか、使用人と乾杯するエイドリアンとか、原作を知ってる人ならニヤリとする箇所はいろいろあります。

コミック同様に人が読んでる新聞の見出しなどに重要な情報が示されているし、2枚並べた皿がフクロウの顔のようになっていて、そこに落とされた卵の黄身がスマイルマークのようになる…といった演出も非常に凝っている。アクションシーンもHBOならではの予算をかけたものになっているほか、トレント・レズナーとアティカス・ロスによる音楽も雰囲気を醸し出すのに大きく貢献している。

出演はシスター・ナイト役にレジーナ・キング。結構年配だけどアクションもこなしています。エイドリアン・ヴェイトがジェレミー・アイアンズで、クロウフォード署長にドン・ジョンソン、ルッキング・グラスというビジランテ役にティム・ブレイク・ネルソン。そして謎の老人としてルイス・ゴセット・ジュニア。

本国の評価では「西部劇のようだ」というのがちらほらあって、無法者の一味と闘う保安官たち、という構成がそう見えるのかな。まあこれからドクター・マンハッタンとかオジマンディアスが徐々に関わってくるわけで、どこに話が向かっていくのかは楽しみである。

「BATWOMAN」鑑賞

THE CWの新作シリーズで、アローバースに加わる新たなスーパーヒーローですな。

舞台は当然ながらゴッサム・シティだが、バットマンは3年前から行方不明になっているという設定。ブルース・ウェインの従姉妹であるケイト・ケインはかつては軍の兵士だったが、レズビアンであるという理由により除隊を命じられ、遠く離れた地で密かに訓練を続けていた。だがかつては彼女の恋人であり、ケイトの父親が運営する警備会社の社員であるソフィーが暴漢に誘拐されたためにケイトはゴッサムへと帰ってくる。そこでブルースの遺したバットマンの基地を発見した彼女は、バットマンのコスチュームを身にまとってソフィーの救出に向かうが、その陰には死んだはずのケイトの妹がいた…というあらすじ。

コミックでは10年くらい前に登場したケイト・ケイン版のバットウーマン、日本ではそんなに馴染みはないかもしれないけどアメリカでは人気キャラクターですね。TVシリーズ版のオリジンも大体はコミックを踏襲している感じかな。父親はもっとガチガチの軍隊オヤジだったけど。

バットウーマンの宿敵となる、双子の妹のアリス(上)は子供のときに母親とケイトとともに橋の上で交通事故にあって、バットマンがケーブル張って助けようとしたものの、なぜかケーブルが切れて母親とアリスは橋の下に落ちていったが、どうもアリスは生きていたという設定みたい。昼間に突然現れて、救助に失敗するバットマンがなんかとてもカッコ悪いぞ。まあ事故の真相はこれから明かされていくのだろうけど。

バットマンがいなくなったゴッサムシティ、という設定は短命に終わったTVシリーズ「BIRDS OF PREY」と同じなのだが、「スーパーガール」にスーパーマンが出てきたように、いずれこっちにもバットマンが登場するのだろうか。バットマンが3年間行方不明、ということは当然ブルース・ウェインも同じあいだ不明なので、ブルースってバットマンじゃね?と思う人がいそうなものだけど、そうでもないらしい。バットマンの基地や装備はルシアスの息子のルーク・フォックスが管理していて、彼もいずれコスチュームをまとってバットウィングになるのかしらん。

第1話ではケイトがバットマンのコスチュームを着るだけで(よくサイズが合ったな)、コミックでおなじみの赤毛のコスチュームはなし。TVシリーズに映画並みのアクションを期待するのは酷だろうけど、「アロー」とかに比べてもアクションシーンが稚拙で、なんか安っぽい気がするな…原作だともっとモラル的にグレーなキャラクターだった(バットマンと必ずしも気が合うわけでは無い)と思うので、そこらへんを強調する必要があるのでは。

ケイトを演じるのはルビー・ローズ姐さん。まあ適役ですな。素顔でビシバシ戦った方がカッコ良さそうな気もするが。スタントで怪我して緊急手術を受けたりと、撮影は大変だそうです。彼女自身もレズビアンだけど、レズビアンが主役のスーパーヒーロー番組はこれが初だそうな。その彼女の父親役にダグレイ・スコット。個人的にはやはり彼って演技が下手だと思うのですよね。いつも仏頂面で硬い演技しかできないというか。原作だとケイトと父親の関係が重要な要素なわけで、これからのストーリーにどれだけ貢献できるのだろう。あとなぜかMSNBCのキャスターであるレイチェル・マドウが声だけ出演してます。

第1話を見た限りではそんなに面白いとも思わなかったけど、主役はいい役者使ってるのだし、これから話をどう練り上げていくかが成功のポイントですかね。