またちょっとVPNをゴニョゴニョして、DCコミックス(失礼、「DCエンターテイメント」ですな)の映像配信サービス「DC UNIVERSE」に加入してみたのであります。正直なところ価格の割にはラインナップは乏しいし、コミックの読み放題サービスもちょっと使い勝手が悪いような気がしますが、「タイタンズ」「DOOM PATROL」(まだ観てない)に続く第3のオリジナルシリーズとなるこれを視聴してみたら意外と面白いのでございます。

原作は植物と人間が融合したモンスターヒーローのスワンプシングを主人公にした一連のコミックで、かつてはウェス・クレイブンが「怪人スワンプシング」として映画化しているほか、TVシリーズ、さらにはアニメシリーズなども作られており、実はよく映像化されているキャラクターだったりする。

原案はレン・ウェインとバーニー・ライトソンというアメコミ界でも屈指のクリエイターたちだが、コミックが本当に有名になったのはアラン・ムーア御大が80年代初頭にライターに就いたときで、初っ端から「スワンプシングは人間と融合した植物ではなく、人間の記憶を持った植物な」と従来の設定をひっくり返し、それ以降はイギリスの魔術師ジョン・コンスタンティンが登場したり、世界の植物界を統治するパーラメント・オブ・ツリーズが出てきたり、さらにはスワンプシングが宇宙での冒険を繰り広げたりと、それはもう革新的なストーリーを繰り広げていたのであります。このコミックによってイギリスのライターたちがアメリカで活躍する機会が広がり、のちのヴァーティゴの立ち上げにつながったのは間違いないだろう。

んでこのTVシリーズのほうですが、賢明にもムーア御大のプロットは殆ど使わず、プロデューサーのジェームズ・ワンの映画を彷彿させるような、サザン・ゴシックのホラー作品に仕上がっている。

舞台は湿地帯に面したルイジアナの町マレー。そこでは植物に関連した謎の疫病が蔓延し、人々が病院に担ぎ込まれていた。マレー出身の医師であるアビー・アーケインは、疫病の原因を突き止めるために数年ぶりに故郷に戻り、そこでエキセントリックな植物学者のアレック・ホーランドと出会う。何者かが湿地に投棄している植物活性剤が疫病に関連していることを疑ったアレックは単身湿地に乗り込むが、何者かに撃たれて沼に沈んでしまう。そこで彼の体は活性剤と交わり、アレックはスワンプシングとして蘇るのだった…というあらすじ。

ただし話の主人公はあくまでもアビーであって、アレックことスワンプシングの登場はかなり抑えられている。アビーは過去に何らかの理由でマレーを離れており、いったい何があったのか?が徐々に明かされていくほか、湿地に関わる町の有力者の陰謀、さらには幽霊が出てきたりと、いろんな謎が絡み合っているのだが決して詰め込んだプロットにはならず、次はどうなるんだろうと思わせる内容になっている。

登場人物も多彩で、マット・ケーブルやジェイソン・ウッドリューといった原作でもお馴染みのキャラクターに加え、マダム・ザナドゥやファントム・ストレンジャーといった他のコミックのキャラクターも登場。かなりマイナーなブルー・デビル(の中の人)までもが登場したのは驚きました。アビーの叔父でスワンシングの宿敵であるアントン・アーケインが出てこないのが意外だが、いずれ登場するのかな。

役者はアビーを演じるのが「ゴッサム」のクリスタル・リード。有名どころでは有力者の妻をヴァージニア・マドセンが演じていたり、ジェニファー・ビールスとかが出演しています。「スター・トレック:ヴォイジャー」のティム・ラスもチョイ役で出ていたな。

製作ではゴタゴタがあったみたいで、当初1シーズン13話の予定が10話になり、さらに税金免除の見込みが間違ってた(正確な理由は不明)とかで開始直後に1シーズンでの打ち切りが決定されるなど不遇な目に遭っている。DCコミックスの虎の子作品「サンドマン」はNETFLIXに行ってしまったし、「DC UNIVERSE」自体がなんか不調なのでは?という声も出ているけど、数話みた限りではこの「SWAMP THING」かなり面白いので、今後も頑張ってDCコミックスの映像化に挑んで欲しいところです。

非常に高い評価を得ているHBO/SKYのミニシリーズ。第1話が無料公開されてたのでVPNをゴニョゴニョと。

その名の通り1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故の出来事を追った内容で、原子炉の爆発とその対応がスリリングに描かれている。爆発自体は冒頭に地味に起きる感じで、遠く離れた家が衝撃で揺れて、発電所からチェレンコフ光が見えているという描写。

そこから舞台は発電所の中に移り、職員たちが「いま何が起こった?」と焦るなか、原子炉を囲っていたグラファイトの破片が敷地内に散らばっており、なんかヤバいことが起きてるよね、というのがジワジワと明かされてくる展開はまさしくホラー。放射能測定器の針も振り切れているものの誰もそれを信じず、半ば崩壊した建物を散策するうちに職員たちは被曝によって顔が赤くなり、出血して倒れていく。露出して死の灰を撒き散らしながら燃えさかる原子炉が発見されるシーンなんてコズミックホラーのようでした:

第一話は事故によってみんなあたふたしている感じでしたが、今後はなぜ事故が起こったのかという説明と、身を挺して被害を防ごうとする人たちの話が中心になってくるみたい。何も知らずに消火にやってきた消防隊員たちがバタバタ倒れている一方で、事故を巻き起こしたとされるディアトロフ副技師長なんかは被曝してるのに事故後も10年くらい生きてたようで、ロシア人はどれだけ丈夫なんだよ!

ディアトロフをはじめ登場人物はほとんどが実在の人物で、事故の調査にあたり、後に自殺したヴァレリー・レガソフが話の主人公のような扱いになっている。ゴルバチョフも出てくるよ。

出演はジャレッド・ハリス、ステラン・スカルスガルド、エミリー・ワトソン(彼女の役は架空のキャラ)、バリー・キオガンなどなど。比較的地味な(失礼)役者たちを使うことで、物語がドキュメンタリーっぽくなっているというか。出演者のセリフは当然ロシア語でなく英語だが、ロシア訛りなどは使わずに全員イギリス英語(アメリカ人俳優は出演してない)で話すことで、アクセントが気にならずにストーリーに没頭できるようになっている。

全5話を監督したのは「ブレイキング・バッド」なども手がけたヨハン・レンク、脚本家およびクリエーターのクレイグ・メイジンは「最’狂’絶叫計画」「最終絶叫計画4」「ハングオーバー! 2&3」の脚本家…って全然違うジャンルじゃん!しかしこの作品の執筆にあたって入念な調査をしたようで、それが半端ない臨場感に現れているのではないかと。

メイジン曰く、フェイクニュースにあふれた現在の状況がこのシリーズを執筆する発端になったそうで、劇中でもソビエト政府が情報を抑圧して事故の深刻さを隠蔽しようとするし、レガソフにも余計なことを言わないように圧力をかけるシーンが登場する。日本でも福島の原発事故の時に官邸とどんなやりとりがあったのかは今でも論議の的だし、そこらへんは変わらないのかな。

まあ日本人としては観てると福島の原発事故がどうしても連想されてしまうわけで、個人的にはチェルノブイリと福島って別物だと思うのですが(後者は炉が露出したわけではないし、直接の死者もいない)、まあいろいろ考えてしまいますね。これ日本で放送するのかな。

高い評価を受けているのも頷ける、非常によくできた作品。全話を観てみたいと思わせる出来でした。

米HULUで始まった、ジョーゼフ・ヘラーの同名小説が原作のミニシリーズ。

第二次対戦中、イタリアの孤島に陣を構えてイタリア本土に爆撃を繰り返すアメリカ空軍の基地を舞台に、戦争における正常性の消失と狂気の台頭を風刺的に描いた原作は今でも根強い人気を誇る小説なわけですよね。おれ学生の時に読んで強い感銘を受けて、そのまま続編の「CLOSING TIME」を原書で読んでそのツマらなさにガッカリしたのも今となっては良い思い出です(あれホント読まないほうが良いよ)。

過去に1970年にマイク・ニコルズによって映画化されていて、かなり原作をはしょっていたものの、あれはあれでよく出来た作品だったと思う。今回のは6話のシリーズということで尺は長いものの、意外と原作と相違があるような?

原作は一貫としたプロットがあるわけではなく、「牛乳配達」と呼ばれる定期的なイタリアへの空爆を繰り返すうちに兵士たちがジワジワとおかしくなっていく、言うなればダウナー系の作品であったが、それに比べるとTVシリーズ版は若干早急な作りになっているかな。特に主人公の爆撃手ヨッサリアンが、とっとと任務を終えて除隊しようとするさまがドタバタ喜劇っぽく描かれているというか。

ブラック企業のノルマのごとく、任務を完了したとみなされる出撃回数の目標がいつの間にか上がって永遠に達成できそうにないなか、病気を装ったり気が狂ったふりをして除隊しようとするヨッサリアンの前に立ちふさがるのが、かくも有名なキャッチ22こと「自分が気違いだと申請した者はすぐに除隊できる、ただし自分が気違いだと申請する者は気違いと認めない」という規律である。原作(と映画版)に比べて今回のヨッサリアンはキャッチ22のことを知って驚愕するなど、なんとなく全体的に若い感じがする。

まだ数エピソードしか観ていないが、意外なのは原作の主要なプロットである「スノーデンが床にぶちまけた秘密」がまだ登場していないこと。原作だとそれを経験したヨッサリアンがいかに人が変わり、果たして彼が目にしたものは何だったのか、というのが最後に明らかにされるわけだが、あれそのまま最後に持ってくるのかな。

そのヨッサリアンを演じるのがクリストファー・アボット。彼が主演した映画「James White」って評判よかった気がするがまだ観てません。あとはプロデューサーのジョージ・クルーニーが軍の中尉を演じているほか、ヒュー・ローリーやカイル・チャンドラーなどが出演している。

俺の好きなキャラクターであるメイジャー・メイジャー・メイジャー少佐は原作だとヘンリー・フォンダに生き写しで、役者を引退したフォンダ本人が従軍しているのではと噂されてるほどだが、残念ながら映画版に続いて今回もフォンダに似てない役者が演じています。また戦争においてあらゆることを金儲けのタネに使おうとする舞ロー・マインダーバインダーは風刺の点からするとヨッサリアン以上に重要なキャラだが、TVシリーズではそこまで大きく扱われてはいないみたい。

小説はいま読んでも十分面白い一方で、いまそれを映像化して何の風刺になるのかな?という気がしなくもない。第二次大戦なんて現在の戦争のスタイルとは大きく異なってしまったし、特に政権やメディア批判につながっているわけでもないし。そういう意味ではどうも目的が曖昧な作品になってしまったのかも。とはいえ原作のファンとしては全話観るつもりであります。

ピーター・カパルディが監督・脚本・主演を担当した2012年の単発番組。ずっと観てみたいと思っていた作品だが、ふと検索したら中華サイトに中国語字幕つきてアップされてるのを発見してしまった。中国でどれだけ需要があるのか知らんがご苦労様です。

内容はカパルディ演じるナビゲーター(カパルディ本人かどうかは明言されてない)が、かつてロンドンに存在したという架空の映画スタジオ「クリックルウッド・スタジオ」で作られた映画の数々への思いが語られるというモキュメンタリー。

100年近く前に創設されたクリックルウッド・スタジオは映画の黎明期から撮影を行っており、数々の銀幕のスターを世に出していく。チャップリンまがいのサイレント時代のコメディアンは人気を博したものの撮影中にロードローラーに潰され、トーキーになってからの女優はその歌が大戦中の兵士たちのあいだで大流行した一方で、実は親ナチスでありヒットラーのための映画にも出演していたなど、人気俳優たちの栄光と没落が淡々と語られていく。

カラー時代になってからは財政難に見舞われ、ホラー映画を作ったらヒットして似たような作品を乱発するという流れはハマー・フィルムを意識したものかな。科学者がイモ虫に噛まれて怪物化するという「原子人間」のオマージュみたいな作品も出てきますよ。

60年代になってからはコメディ・グループ(「Carry on」シリーズのオマージュですかね)に出演していたグラマー系の女優が、イタリア人監督とアートフィルムを作るものの興行的に失敗し、その後はアダルトまがいの作品にしか出演できず、やがて自ら命を絶つという悲劇が説明される。

そして最後は例によってテリー・ギリアム(本人登場)がスタジオで撮影を行うものの、撮影用の水槽が破裂してクルーが病気になり、訴訟問題に発展して映画の公開が禁じられ、多大な負債を抱えたスタジオは閉鎖の憂き目に遭ってしまう。もはやギリアムってこういうジョークのネタにされる人になってしまったな!彼の未公開映画(?)の絵コンテがいくつか見られるのは貴重でした。

いちおうコメディ番組なんだけど、イギリスの映画史への愛とユーモアを含めたオマージュというべきか。映画スタジオの架空の歴史と作品の数々を、ゼロから作り上げたその労力は結構すごいものがありますよ。DVDなどが出てないのが残念というか、もっと正規のルートで見られるようにすべき作品。

Cricklewood Greats from Tomboy Films on Vimeo.

FXの新シリーズで、同名映画作品(邦題「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」)のTVシリーズ版。

劇場版の監督だったタイカ・ワイティティとジェマイン・クレメントが深く関わっており、基本的な話の内容は変わっておらず、1つの屋敷のなかに共同で暮らす吸血鬼たちの愉快な日常を追ったモキュメンタリー作品となっている。ただし劇場版は舞台がニュージーランドだったのに対してこちらはニューヨークのスタテン島が舞台になっており、登場人物もすべて異なっていた。

屋敷に住むのはリーダー格の吸血鬼のナンドー、その仲間のラズロ、その恋人のナジャ、彼らの召使で人間のギレルモ、およびエネルギー・ヴァンパイアのコリン・ロビンソン。あと長旅をかけてやってきたバロンという古参の吸血鬼が棺桶のなかで長寝をしているという設定になっています。

個人的には劇場版はモキュメンタリーのブームの末期に公開された(と思っている)こともあり、そんなに評価はしていないのだけど、今度のTV版はエネルギー・ヴァンパイアという新しい吸血鬼がいるのがポイントかも。彼らは日中でも活動できるタイプの吸血鬼であり、他人のやる気を精神的に吸い取ってしまうという能力を持つため、普段は人間に紛れてオフィスワークを行い、同僚に迷惑をかけてやる気を吸い取っているのだ。しかもこの能力は吸血鬼にも効くらしく、彼が部屋に来るだけで他の吸血鬼は気力が萎えるという設定になっている。kおのコリン・ロビンソン、うまく扱えば結構面白いキャラになるかも。

あと劇場版ではオオカミ男とか魔女といった他の種類のモンスターが登場してましたが、予告編を見る限りではこちらでも登場するみたい。あと空中浮遊や壁をよじ登るといった特殊効果は、TVシリーズにしてはよく撮れていました。

ナンドーとラズロとナジャの3人の吸血鬼はみんなイギリスの俳優が演じている。なかでもラズロは「IT CROWD」「SNUFF BOX」などで知られるマット・ベリーが演じており、これがアメリカで彼がブレークするきっかけになるかも?あとはバロンの中の人をダグ・ジョーンズが演じていたりします。

全体的には劇場版の雰囲気によく似ているので、あれが好きだった人は楽しめるでしょう。 シュールな内容もFXのコメディ番組としてはよく似合ってるのでは。