「Fight For Your Right Revisited」鑑賞


言わずと知れたビースティ・ボーイズの新譜にあわせて作られた短編映画。監督はメンバーの1人であるアダム・ヤウク。

ストーリーはあって無いようなもので、イライジャ・ウッドとダニー・マクブライドとセス・ローゲンが演じるビースティ・ボーイズがビール飲みながらニューヨークの路上で乱痴気騒ぎを広げているうちに、ウィル・フェレルとジャック・ブラックとジョン・C・ライリー演じる未来の彼らと遭遇し、ダンス・バトルを繰り広げるというもの。いつの間にか小便のかけ合いになってしまう展開がアレですが。

とにかく出演者が豪華で、上記の6人のほかにウィル・アーネットやテッド・ダンソン、キルステン・ダンスト、スーザン・サランドンなどといった有名俳優がわんさかとカメオ出演している。たぶん近くのスタジオで撮影している人たちに片っ端から声をかけたんだろう。知ってる顔がどれだけいるかを数えながら観るのもいいかも。カウベルを叩くウィル・フェレルなんていう懐かしいネタも入ってるぞ。

「トゥルー・グリット」鑑賞


やはりコーエン兄弟はコメディでなく真面目な作品を撮ったほうがずっと面白いことを再確認。この時代にこの映画をリメークする意義はよく分からんが、変なギミックも無いストレートなウェスタンで大変楽しめたのでありますよ。「ノーカントリー」のように無慈悲で暗いシーンを描きつつ、会話のあちこちにドライなユーモアを混ぜる手腕も円熟さが感じられますね。父親を亡くして復讐の旅に出た娘が、やがて老保安官のなかに父親像を見いだす過程もさりげなく描かれていて巧いなあと。

演出だけでなく役者の演技もみな素晴らしく、特にジェフ・ブリッジスは「クレイジー・ハート」なんかよりもずっといい演技だったんじゃないの。腹の底から捻り出すような声での演技が実に渋い。話の要となるヘイリー・スタインフェルドも非常に良い。難点があるとすれば親の仇であるジョシュ・ブローリンの役が意外とヘタレであることか。バリー・ペッパー演じる悪役のほうが凄みがあったような。

これだけの作品なのに東京でも公開館が少ないのが惜しい。ウェスタン好きな人には観ることをおすすめします。

「ブラック・スワン」鑑賞


ダーレン・アロノフスキーって「ファウンテン」や「レスラー」と続いてちょっとは明るい人になったかな?と思ってたのですが(あくまでも以前の作風に比べてだけど)、これは「レクイエム・フォー・ドリーム」の悪夢路線を踏襲する内容になっていた。

独特の雰囲気を持った非常によく出来た作品ではあるんだが、少女マンガを読んだり昼メロを観たあとにどっと疲れが出るのと同じで、観てていろいろしんどいところがある映画であった。「レクイエム」もしんどかったけど、あちらは最強の原作に支えられていたのに対し、こちらはやはり話が少女マンガの域を出ていないような。ドロドロした雰囲気はよく出ているので、そういうのが好きな人にはたまらんでしょうが、そういう人たちってアロノフスキーの映画は観ないよな。

役者はナタリー・ポートマンが文字通り体を張った演技を見せつけていて、アカデミー賞を穫ったのも納得できる。表情が硬いのは役のせいなので仕方ないけど、暗黒面に堕ちたさまをもう少し見たかった気もする。彼女と対照的なキャラを演じるミラ・キュニスは奔放でいい感じ。どの映画でも同じような役を演じている気もするけどね。個人的にいちばん良かったのはバレエのコーチを演じるヴァンサン・カッセルで、高圧的なエロ親父の役がハマりすぎ。ウィノナ・ライダーは「スター・トレック」並みのチョイ役だったので何とも言えんな。むしろ主人公の母親を演じるバーバラ・ハーシーのほうがずっと怖い女性を演じていた。

しかしどうもうまく説明できないんだが、今までのアロノフスキーの作品と比べて何かが足りない気がするのは何故だろう?主人公がその役柄ゆえに観る人も拒絶して感情移入させてくれないせいなのかな、あるいはクリント・マンセルの音楽がチャイコフスキーの「白鳥の湖」に遠慮してるせいか?ここはぜひ女性の感想を聞いてみたいところです。

「ザ・ファイター」鑑賞


雑記的な感想をいくつか。マーク・ウォールバーグって他の主演映画を観れば分かるように1人できちんと映画を支えられるほどの技量を持った人ではないけれど、今回はクリスチャン・ベールとメリッサ・レオの怪演がそれを十分に補っていることで楽しめる映画になっている。むしろ役者としてのカリスマのなさが、兄と母のエゴに翻弄される主人公の役に今回はうまくはまっている感じか。

一方のクリスチャン・ベールは以前にも何度も減量して痩せ男を演じているので今回の役作りはそんなに驚くほどでもないが、むしろ後頭部にちゃんとハゲをつくっているところにプロの根性を感じましたよ。ただしあまりにも外見的な役作りのインパクトが強いため、いつ画面に出てきてもそれは「痩せたクリスチャン・ベール」であって「ディッキー・エクランド」には見えないのが残念。彼は実在の人物を演じるのには向いてないタイプなのかもしれない。彼らの母親を演じるメリッサ・レオは、ジョン・ウォーターズの映画に出てきそうな格好で、同じ姿の娘たちを何人も引き連れて歩く姿が圧巻。それに比べるとエイミー・アダムスが至極まっとうな人物に見えてしまうせいか、レオがアカデミー賞穫ったことは理解できるものの、アダムスがノミネートされたのはちょっとどうなんだろうとも思ったな。

実際の話を追った脚本はうまく随所にクライマックスを練りこんで退屈させない出来になっているものの、主人公たちの目指すものがいまいち分かりにくいところが難点。主人公がマイナーな試合に勝って小銭を稼ぎたいのか、世界的なボクサーを目指してるのかが読みにくいというか。また肝心のボクシングの試合はパンチの音がみんな同じに聞こえるし、最後のクライマックスでスローモーションになるタイミングもなんかずれていたような?すべてのボクシング映画が「レイジング・ブル」のようにスタイリッシュであるべきでもないだろうが、試合中のボクサーの心境をもっと映し出しても良かったんじゃないかと。

とまあいろいろ書いたけど、ベールの怪演はやはり見ものだし、欠点はあるけれど悪くはない映画ですかね。

「MEGAMIND」鑑賞


個人的に「ヒックとドラゴン」で大きく株を上げたドリームワークス・アニメーションの新作。これ日本では劇場公開されないんだよな。勿体ない。

崩壊する惑星から赤ん坊のときに両親によって脱出させられ、地球に辿り着いた異星人メガマインド。彼は到着した先が刑務所だったことから囚人たちに悪の道を教え込まれ、さらにその青色の肌とハゲ頭という外見が災いして学校で仲間はずれにされたことなどから心がひねくれ、史上最強の悪党になることを決心する。しかしその野望は同じく他の星からやってきた正義のヒーロー、メトロマンによって常に打ち砕かれ、いつもメガマインドは刑務所送りになっていた。しかしある日、メガマインドの立てた計画のなかでメトロマンの意外な弱点が明らかになり、なんとメトロマンは死亡してしまう。こうしてメガマインドは世界(というか舞台となる街)を支配することが出来たのだが、いざ目的を果たしてしまった後の生活は彼にとって空しいものだった。そんななか彼は意中のTVレポーターであるロクサーヌに変装して近づくのだったが…というような話。

映画のコンセプトが「もしレックス・ルーサーがスーパーマンに勝ったら?」というものであることからも分かるように、スーパーマンの物語をうまく裏返して悪党の視点からとらえた内容になっている。よってスーパーマンに関する最低限の知識がないと十分に楽しめないかも。マーロン・ブランドーのパロディも出てくるぞ。主人公のメガマインドは悪党なんだけどその動機は非常に純真で、疎外感と劣等感を抱いていて女の子の口説き方も知らない童貞のダメ男というその姿には同情を禁じ得ないなあ。ストーリーもスーパーヒーローものの決まり事をををうまく脱構築しているというか、いい感じにヒネリがきいているといった具合。

明らかに3Dを意識した演出が多いのは置いとくにしても、アニメーションの出来もいいしアクションシーンも満載で気軽に楽しめる出来になっている。夜の街の風景とかが特に奇麗だったな。ただし有名ロック・ソングを多用してそれに合わせた演出をしてるのは何となくチープで好きじゃないな。また最後のバトルももうちょっと長くても良かったかも。そうういう意味では「ヒックとドラゴン」ほどの出来ではないけど、「カンフー・パンダ」くらいのものではあると思う。大スクリーンで観ればもっと楽しいと思うんだけどね。ホント勿体ないよね。