「GREEN PORNO」鑑賞

イザベラ・ロッセリーニが監督・主演した、サンダンス・チャンネル用のショートムービー「Green Porno」をダーッと観る。カマキリ・カタツムリ・クモ・ミミズといった昆虫や小生物の交尾の仕組みをロッセリーニがコスプレしながら詳しく説明してくれる内容なんだが、子供向けにしてはえげつない表現が連発されるし(もっとも虫のセックスなんてみんなえげつないんだが)、ディスカバリー・チャンネルとかの番組に比べると内容がアート的すぎるし、いまいち誰を対象にしてるのか分からんな。いい年したオバハンがコスプレしてセックスごっこしてる姿が好きな人にとっては格好の作品でしょうが。

YouTubeでも全8作品が観れるぞ。ハチのオスの情けなさが涙を誘う。

「何がジェーンに起ったか?」鑑賞

自分でレンタルしといて何ですが、何故こんな気の滅入る映画を朝っぱらから観ることになったのか激しく自問。

ベティ・デイビスとジョーン・クロフォードの鬼気迫るやりとりが2時間以上にわたって続く作品。特に鈴木その子と松島トモ子を足して2で掛けたような形相をして、姉をひたすら虐待するデイビスの演技は本当に凄まじい。「サンセット大通り」のグロリア・スワンソンもそうだったけど、過去の人気女優という役柄が役者の経歴にそのまま合致してるので、異様なリアリティが存在していて怖いんだよな。現在でこういう役を演じられるのはエリザベス・テイラーとライザ・ミネリくらいしかおるまい。

これを観たからには、次は「愛と憎しみの伝説」を観なければいけないのか?

「SOUTHLAND TALES」鑑賞

場外満塁ホームラン的大傑作「ドニー・ダーコ」で衝撃のデビューを飾ったリチャード・ケリーによる待望の第2弾「サウスランド・テイルズ」を観た。

壮絶なる失敗作。

評判通りの出来だった。しかし失敗作だからといって内容がダメダメというわけではなく、話の展開は派手だし映像も美しく、モービーによる音楽も良くて十分に楽しめる内容になっている。ストーリーが根本的に破綻していて、観たあとにものすごく「???」な気分にさせてくれることを除けば、決して悪い作品ではない、ということにしときましょう。

舞台となるのは架空のアメリカ。2005年にテキサスがテロリストによる核攻撃を受けたことにより第三次世界大戦が勃発。中東での戦闘により石油の供給が枯渇し、代理エネルギーの開発が求められるなか、波の動きから無尽蔵のエネルギーを得られるという装置を開発した会社が登場する。またテロリスト対策としてパトリオット・アクトにさらなる権限が与えられ、インターネットを含む多くの活動が監視されようとしていた。政府のそうした行動に反対する新マルクス主義者たちは、南カリフォルニアを拠点にして反政府活動を続けている。そんなとき、国会議員の義理の息子でアクション映画俳優のボクサー・サンタロスが失踪し、記憶喪失の状態で砂漠にいるところを発見される。自分のリアリティー番組を抱えたポルノ女優クリスタ・ナウに保護されるサンタロス。果たして彼の身に何が起きたのか?そしてイラク帰りの警官ローランド・タヴァナーとその双子の兄弟の正体は?さまざまな人物の出来事が交錯するなか、世界は終末に向かって加速していく…。

…というのが主なストーリー。意味分かる?これが最初の30分くらいでダーッと描写されるので話についてくのは結構しんどいかも。そもそも作品が3章に分かれているんだが、いきなり第4章から話は始まっている。最初の1〜3章はコミックとして発売されてるそうだが、登場人物の経歴とかがみんな説明不足になっている感は否めない。ストーリーは明らかにフィリップ・K・ディックの影響を受けていて、ファシズム的な国家と反体制運動の対立を軸に、超常的なものが世界に流れ込んで具現化していく。最後のオチは「ドニー・ダーコ」に通じるところが多分にあったが、「ダーコ」ではあまり宗教色がなかったのに対し、この作品は聖書の黙示録がベースになっていて何度も引用がされるほか、世界の終末における反キリストの台頭と救世主の再来がテーマになっている。

ただしこうした神の介入やタイムトラベル、パラレルワールドなどといった設定は「ドニー・ダーコ」においては一応筋が通ったものになっていてストーリーをものすごく奥の深いものにしていたけど、この「SOUTHLAND TALES」は登場人物とプロットが多すぎて、最も重要な話が何なんだかよく分からないものになってしまっているのが致命的。登場人物がお互いを裏切ってばかりで誰がどういうアジェンダを持ってるのかも理解しづらいし、感情移入できる主人公がいないのも痛いよな。「ダーコ」は観賞後も公式サイトなどでTangent UniverseやManipulated Deadとかの正体について調べたい気になったけど、この作品は意味不明な点が多すぎてもうどうでもいいや、という気になってしまう。

とまあいろいろ書いたけど、やはり悪い作品ではないのですよ。監督の意図するものが思いっきり的を外しているとはいえ意欲の感じられる大作だし、カリフォルニアの風景描写や近未来的なセットのデザインも素晴らしい。あとロック様やサラ・ミシェル・ゲラーやショーン・ウィリアム・スコットといった、お世辞にも一流とはいえない役者たちの演技も何気に巧かったし。「ドニ・ダーコ」は短期間で製作されたオリジナル版よりも、後のディレクターズ・カット版のほうが評判が悪いという珍しい作品だったが、リチャード・ケリーってあまり物事を煮詰めすぎると頭でっかちになって良くなくなる人なのかもしれない。とりあえず次に製作が決まっている「THE BOX」はリチャード・マシスンの原作があるんだから、もうちょっと話の筋が通ったものになるのを期待します。

「Urgh! A Music War」鑑賞

以前から観たかった音楽映画「Urgh! A Music War」を鑑賞。1981年に公開されたこの映画は当時のパンク/ニューウェーブ系のアーティストたちのライブ映像を収めたもので、ただ単にライブが順々に映し出されるだけという相当に手を抜いた作りになっているものの、エコバニやマガジン、トーヤ、ディーヴォ、オウ・ペアーズ、OMD、クランプスといった面々による熱気のあるライブは非常に見応えあり。出演してるバンドのリストはウィキペディアを参照のこと。個人的に特に良かったのは:

・「Bad Reputation」を歌うジョーン・ジェット姐さん
・巨大な電動車椅子みたいなのに乗って歌うゲイリー・ニューマン
・デビッド・トーマスが巨体を揺らしてファルセットで歌うペレ・ウブ(下の動画)
・相変わらずテンションの高いギャング・オブ・フォー

などなど。その一方でハズレもいて、サーフ・パンクスやインビジブル・セックス、スカフィッシュとかいう俺もよく知らないバンドたちは衣装のギミックに頼っててなんかダメ。クラウス・ノミなんかは衣装も演奏もバッチリ決まってるんですが。

あと意外だったのはXTCのアンディ・パートリッジの演奏が非常にエネルギッシュだったこと。全身から湯気を出しながら熱唱する姿からは、数年後にステージ恐怖症になってライブをやらなくなるとはとても思えない。XTCのライブ音源ってあまり興味なかったんだけど、今度ちょっとチェックしてみようかな。

「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」鑑賞

やっと観た。面白れー!ゲラゲラ笑いながら観たぞ。

相変わらず小ネタが満載の展開に加え、忠犬グルミットの活躍がなんともカッコいい傑作なのであります。ドリームワークス製作ながらコテコテのイギリス映画になってるのもいいな。

ただし劇場版になって尺が長くなったため冗長に感じられるところもあったかな。そういう意味では「A CLOSE SHAVE」に優る作品ではないかもしれない。今年の後半?に公開される新作はまた30分ものになるらしいので、今から期待せずにはいられない。