「SOUTHLAND TALES」鑑賞

場外満塁ホームラン的大傑作「ドニー・ダーコ」で衝撃のデビューを飾ったリチャード・ケリーによる待望の第2弾「サウスランド・テイルズ」を観た。

壮絶なる失敗作。

評判通りの出来だった。しかし失敗作だからといって内容がダメダメというわけではなく、話の展開は派手だし映像も美しく、モービーによる音楽も良くて十分に楽しめる内容になっている。ストーリーが根本的に破綻していて、観たあとにものすごく「???」な気分にさせてくれることを除けば、決して悪い作品ではない、ということにしときましょう。

舞台となるのは架空のアメリカ。2005年にテキサスがテロリストによる核攻撃を受けたことにより第三次世界大戦が勃発。中東での戦闘により石油の供給が枯渇し、代理エネルギーの開発が求められるなか、波の動きから無尽蔵のエネルギーを得られるという装置を開発した会社が登場する。またテロリスト対策としてパトリオット・アクトにさらなる権限が与えられ、インターネットを含む多くの活動が監視されようとしていた。政府のそうした行動に反対する新マルクス主義者たちは、南カリフォルニアを拠点にして反政府活動を続けている。そんなとき、国会議員の義理の息子でアクション映画俳優のボクサー・サンタロスが失踪し、記憶喪失の状態で砂漠にいるところを発見される。自分のリアリティー番組を抱えたポルノ女優クリスタ・ナウに保護されるサンタロス。果たして彼の身に何が起きたのか?そしてイラク帰りの警官ローランド・タヴァナーとその双子の兄弟の正体は?さまざまな人物の出来事が交錯するなか、世界は終末に向かって加速していく…。

…というのが主なストーリー。意味分かる?これが最初の30分くらいでダーッと描写されるので話についてくのは結構しんどいかも。そもそも作品が3章に分かれているんだが、いきなり第4章から話は始まっている。最初の1〜3章はコミックとして発売されてるそうだが、登場人物の経歴とかがみんな説明不足になっている感は否めない。ストーリーは明らかにフィリップ・K・ディックの影響を受けていて、ファシズム的な国家と反体制運動の対立を軸に、超常的なものが世界に流れ込んで具現化していく。最後のオチは「ドニー・ダーコ」に通じるところが多分にあったが、「ダーコ」ではあまり宗教色がなかったのに対し、この作品は聖書の黙示録がベースになっていて何度も引用がされるほか、世界の終末における反キリストの台頭と救世主の再来がテーマになっている。

ただしこうした神の介入やタイムトラベル、パラレルワールドなどといった設定は「ドニー・ダーコ」においては一応筋が通ったものになっていてストーリーをものすごく奥の深いものにしていたけど、この「SOUTHLAND TALES」は登場人物とプロットが多すぎて、最も重要な話が何なんだかよく分からないものになってしまっているのが致命的。登場人物がお互いを裏切ってばかりで誰がどういうアジェンダを持ってるのかも理解しづらいし、感情移入できる主人公がいないのも痛いよな。「ダーコ」は観賞後も公式サイトなどでTangent UniverseやManipulated Deadとかの正体について調べたい気になったけど、この作品は意味不明な点が多すぎてもうどうでもいいや、という気になってしまう。

とまあいろいろ書いたけど、やはり悪い作品ではないのですよ。監督の意図するものが思いっきり的を外しているとはいえ意欲の感じられる大作だし、カリフォルニアの風景描写や近未来的なセットのデザインも素晴らしい。あとロック様やサラ・ミシェル・ゲラーやショーン・ウィリアム・スコットといった、お世辞にも一流とはいえない役者たちの演技も何気に巧かったし。「ドニ・ダーコ」は短期間で製作されたオリジナル版よりも、後のディレクターズ・カット版のほうが評判が悪いという珍しい作品だったが、リチャード・ケリーってあまり物事を煮詰めすぎると頭でっかちになって良くなくなる人なのかもしれない。とりあえず次に製作が決まっている「THE BOX」はリチャード・マシスンの原作があるんだから、もうちょっと話の筋が通ったものになるのを期待します。

「Urgh! A Music War」鑑賞

以前から観たかった音楽映画「Urgh! A Music War」を鑑賞。1981年に公開されたこの映画は当時のパンク/ニューウェーブ系のアーティストたちのライブ映像を収めたもので、ただ単にライブが順々に映し出されるだけという相当に手を抜いた作りになっているものの、エコバニやマガジン、トーヤ、ディーヴォ、オウ・ペアーズ、OMD、クランプスといった面々による熱気のあるライブは非常に見応えあり。出演してるバンドのリストはウィキペディアを参照のこと。個人的に特に良かったのは:

・「Bad Reputation」を歌うジョーン・ジェット姐さん
・巨大な電動車椅子みたいなのに乗って歌うゲイリー・ニューマン
・デビッド・トーマスが巨体を揺らしてファルセットで歌うペレ・ウブ(下の動画)
・相変わらずテンションの高いギャング・オブ・フォー

などなど。その一方でハズレもいて、サーフ・パンクスやインビジブル・セックス、スカフィッシュとかいう俺もよく知らないバンドたちは衣装のギミックに頼っててなんかダメ。クラウス・ノミなんかは衣装も演奏もバッチリ決まってるんですが。

あと意外だったのはXTCのアンディ・パートリッジの演奏が非常にエネルギッシュだったこと。全身から湯気を出しながら熱唱する姿からは、数年後にステージ恐怖症になってライブをやらなくなるとはとても思えない。XTCのライブ音源ってあまり興味なかったんだけど、今度ちょっとチェックしてみようかな。

「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」鑑賞

やっと観た。面白れー!ゲラゲラ笑いながら観たぞ。

相変わらず小ネタが満載の展開に加え、忠犬グルミットの活躍がなんともカッコいい傑作なのであります。ドリームワークス製作ながらコテコテのイギリス映画になってるのもいいな。

ただし劇場版になって尺が長くなったため冗長に感じられるところもあったかな。そういう意味では「A CLOSE SHAVE」に優る作品ではないかもしれない。今年の後半?に公開される新作はまた30分ものになるらしいので、今から期待せずにはいられない。

「ZOO」鑑賞

(注:今回の話はちょっとグロいよ。俺はまったくこのような趣味がないのであしからず。)
去年のサンダンスで話題になったドキュメンタリー「ZOO」を観る。これはシアトルの郊外の農場で馬とヤっちゃった結果、大腸が破れて内出血により死亡した男性を中心に、動物との性愛行為に励む人々の姿を追ったもので、題名の「ZOO」というのも動物園のことではなく動物への愛を意味する「Zoophilia」からとられている。詳しくはこちらの記事をどうぞ。

テーマはドギツいが内容は別にゲテモノ趣味に走っているわけではなく、動物を純粋に愛の対象としてとらえる人々(出てくるのはみんな男性)を紹介するものになっており、グロテスクな映像なども登場せず、死んだ男性の仲間だった人たちのインタビューを中心に構成された作品となっている。役者を使って当時の状況などを再現するスタイルをとっていて、この手法をとるドキュメンタリーって俺は好きじゃないんだが、さすがに関係者の顔や実名を晒すわけにはいかないから仕方ないか。以前までは田舎の農場でそれぞれ行為に耽っていた人々(オヤジが多い)が、2000年代になってインターネットが普及したことにより全国の同士と連絡を取りあえるようになり、仲間うちで集まるようになったという点は興味深い。ドイツや日本の人とも連絡をとったなんて話も出てくるから、こうした行為は日本でも行われてるんだろう。

このドキュメンタリー自体は彼らを糾弾したり好奇の目でとらえるようなことはせず、あくまでも同情的にとらえているものの、なんか彼らの文化(?)の表面をなぞっているだけで、なぜ彼らがこのような行為に耽るのかという内面に迫っていないのがダメ。彼らの自己弁護が淡々と語られるだけで、60分ちょっとという短い尺なのにどうも冗長に感じられてしまう。死んだ男性もそれなりに倒錯した経歴があったらしく、上記の記事にあるように「防衛プロジェクトの仕事や離婚、バイク事故による後遺症など」に影響されていたらしいが、ドキュメンタリー内ではそうしたことに殆ど触れられていない。ドキュメンタリーの対象に優しく接するあまり、深く接することができなかった典型的な失敗例ですかね。テーマ自体は間違いなく人目をひくものの、ドキュメンタリーとしてはかなり出来が悪い作品。

ちなみにこの男性の事件が起きるまで、ワシントン州ではこのような行為が非合法とされておらず、事件がきっかけで罰則が設けられることになったそうな。日本だとどうなってるんだろう。

「スキャナー・ダークリー」鑑賞


やっと観た。なかなか良い出来の作品。ただしアニメ化したことが100パーセント正解かというとそうでもない気もするわけで、70年代のチープなSF映画の雰囲気(「THX1138」とか「スキャナーズ」とか)で映像化されたものも観てみたかった気がする。

あと主人公のボブ・アークターって、ずっと前に原作を読んだときは本来は麻薬の売人で、捜査をかわすために麻薬捜査官になったのかと思ってたけど、そうじゃなくて逆に捜査官がおとり捜査のために売人に扮していた、というのが正しいの?どこで読み間違えたんだろう。