「Futurama: Bender’s Big Score」鑑賞

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来た!観た!「フューチャラマ」の復活DVDムービー第1弾。ここに辿り着くまでは長い年月だったなあ。トレーラーがショボかったのと、冒頭で下ネタとグロがちょっと多かったことからあまり期待してなかったんだけど、なんのなんの見事に期待以上の出来を誇る作品になっていた。

話の舞台となるのはTVシリーズが終わってから2年後の3007年。プラネット・エクスプレスの面々はヌーディスト・ビーチで出会ったエイリアンたちによってオンライン詐欺にあい、事務所の資産をすべて奪われたほか、ベンダーはエイリアンの作ったウィルスをダウンロードしたことで彼らの言いなりになってしまう。さらにエイリアンたちはフライの尻になぜかあったイレズミに、時間旅行を可能にするコードが隠されていることをつきとめ、このコードを使ってベンダーを過去に送り、歴史上の財宝をごっそり奪い取らせてくるのだった。すべての財宝(エディ・ヴァン・ヘイレンのギターとかもある)を奪ったエイリアンは、もう誰も過去に戻れないようにフライを抹殺しようとするが、間一髪のところでフライはコードを使って2000年に逃亡する。そこでエイリアンたちはベンダーを過去に送り、彼にフライを殺させようとするのだった…。というのが主なプロット。タイム・トラベルが関係しているだけに、後のほうになると何人ものフライやベンダーが登場してきて話の時間線がかなり複雑になってくるが、「フューチャラマ」ならではのドタバタのおかげでそんなに気にはならない。

とにかく復活を待ちわびたファンたちへのサービスが満載の中身になっていて、プラネット・エキスプレスの面々はもちろん、ロボット・サンタやハーレム・グローブトロッターズ、そしてもちろんヒプノトード様といったマイナーなキャラたちも総出演。アル・ゴアも本人役で出てきて、とんでもないネタをやらかしてくれる。ウサギのビンキーもちょっと出てるでよ。ジョークもキツいのから他愛ないのまでがテンポよく出てきて観る人を飽きさせない。

そしてこのシリーズの強みの1つであり、「シンプソンズ」では決してきちんと表現できなかった「若者の恋物語」が今回もきちんと押さえられているのが素晴らしい。従来のフライとリーラの関係に加えて、今回はラーズという男が出てきてリーラと恋仲になってしまうのが重要なサブプロットになっている。いちおう俺と同年生まれという設定のフライが、いつまでたっても女に恵まれずダメ男のままでいるのを観るとものすごく共感してしまうのです。「シンプソンズ」の劇場版はまだ観てないけど、あっちよりも優れた作品なんじゃないのかな。

技術的な面ではシリーズ初となるHDの映像が奇麗でいい感じ。DVDの特典にはコメンタリーのほか「EVERYBODY LOVES HYPNOTOAD」のフルエピソード(30分ヒプノトードが映ってるだけ)なんてのもあってなかなか楽しい。「フューチャラマに関する数学教室」なんて映像もあるんだが、あれを観るとデビッド・コーエンをはじめとするスタッフが筋金入りのギークだってのがよく分かるぞ。

とまあ、DVD第1弾はそれなりの傑作だったと思う。あと3つDVDムービーが作られる予定なので、今後の期待はいやがうえにも高まるなあ。これらが売れてついにはTVシリーズの復活につながると最高なんだけどね。

「Gayniggers from Outer Space」鑑賞

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そのあまりにもな題名からカルト人気を博しているデンマークの短編映画「Gayniggers from Outer Space」をYouTubeでチマチマと観る。

内容はタイトルそのまんま。男だけが住むアヌス星からやってきたゲイの黒人の宇宙人たちが、宇宙を旅行中に地球を発見。そこの女性の存在に驚愕した彼らは、地上に降り立って光線銃で女性たちを抹殺していき、地球の男性たちを解放するのだった…。というだけの話。一見ブラクスプロイテーション的な内容ながら、ロシアや中国、ドイツなんかも一緒にコケにしていたりする。チープながら味のある特殊効果や、内容はバカみたいなのに変にダウナー系の音楽が鳴り響いていてまったりしてるところなんかは、ジョン・カーペンターの「ダーク・スター」を彷彿させる。

何の意図を持って作ったのかがまるで分からないけど、それなりに良く出来た作品。デンマーク映画侮りがたし。

「イカとクジラ」鑑賞

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やっと観た。

いろんなところでこれをコメディと呼んでいるのを目にするけど、コメディじゃねえよなあ。どうにもならない陰気な状況において、いかに人々が「痛い」行動をとるかをきちんと描ききっているだけだろう。ジェフ・ダニエルズ演じる父親なんて実にリアリスティックにサイテーだし、じゃあ逆にローラ・リニーの母親はちゃんとしてるかというとそうでもなくて、次々に若い男とつきあってるばかりだし。脇役ながらウィリアム・ボールドウィン演じるテニスのコーチも実にサイテーでいい感じ。ローラ・リニーは薄幸な役柄が本当に身に付いてきましたね。あの甘ったるいラブコメ「ラブ・アクチュアリー」でも唯一恋が成就できないキャラだったのは伊達じゃないな。

両親に翻弄される2人の子供たちの振る舞いも実にリアル。離婚とまではいかなくても、親のケンカを2階で聞いてたような経験は誰にでもあるよね。高校でピンク・フロイドとかにハマって、「ブルー・ベルベット」を親の前で観て気まずい思いをするなんてとても他人事とは思えない。崩壊家庭において気が変になっていく弟の描写も見事。痛々しいけど。

気になった点を挙げるとすれば、ハンドカメラによる揺れ気味のカメラワークが邪魔だったかな。特に前半。変に臨場感を出す必要はないんだから、もっとどっしり構えて撮ればいいのに。あとアンナ・パキンの顔がティム・ロビンズに見えたのは俺だけでしょうか。

「偉大なるアンバーソン家の人々」鑑賞

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たまには古典も観るべえ、ということでオーソン・ウェルズの監督第2作「偉大なるアンバーソン家の人々」を鑑賞。

名家を舞台にした愛憎うずまく物語ということで昼メロ的な展開が多分にあるものの、一家の栄光と没落がドラマチックに描かれていてそれなりに面白い。惜しむらくは主人公のドラ息子があまりにも愚直すぎて、「市民ケーン」にあったような幅広い性格描写ができていないことか。それでも長廻しや引きのドリーショット、影を多用したライティングといった撮影のテクニックが1942年の段階で確立され、物語を語るにおいてきちんと使われているところなんかは興味深い。というか最近の映画における過度なBGMやカメラワークなんて殆どの場合ストーリーからむしろ観客の興味をそらす結果になっていると思うんだけどね。話の内容をしっかり伝えるにはむしろ映像が白黒のほうがいいんじゃないかと、ボグダノヴィッチ的なことも考えてしまうんだが。

ウェルズ作品なら次は「黒い罠」を観てみたいところです。

「ローズ・イン・タイドランド」鑑賞

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テリー・ギリアムの「ローズ・イン・タイドランド」をやっと鑑賞。俺まだ「ブラザーズ・グリム」はまだ観てなかったりする。昔はギリアムの新作が出れば劇場に真っ先に足を運んだものだがのう。いや、別に嫌いになったとかじゃなくて、他に観る映画がいっぱいありすぎて時間がないだけの話ですけどね。

んでこの「ローズ・イン・タイドランド」。結論から言うと明らかな失敗作。でもギリアムの失敗作だからただの失敗作とは1つも2つも違うけどね。雰囲気としては「バンデットQ」と「ラスベガスをやっつけろ」を足して2で割ったような感じかな。「バンデットQ」はあくまでもファンタジーの世界の話だったけど、「タイドランド」は舞台がずっと現実世界なので話に救いがないのが痛々しい。最初から最後まで変人ばかりが出てきて気色悪いことをやってる映画というのは全然ありだとは思いますが、ギリアムにはもうちょっと別のものを期待してたんだけどね。なんかむしろティム・バートンや最初期のデビッド・リンチが作りそうな作品だったな。俺にとってギリアム作品といえば「未来世紀ブラジル」のような毒々しさとファンタジーが絶妙にブレンドされたものを期待してしまうのですが、今回は毒のバランスが強すぎたようです。現実の悪夢を理想の幻想で乗り切るというテーマは「ブラジル」にも通じるはずなのに、なぜ今回はこうして不快な作品になってしまったんだろう。

作品の取り柄としては、主人公のジョデル・フェルランドの体を張った演技は見事。ジェフ・ブリッジスは大統領も演じられるような役者だけど、やはり「ザ・デュード」のようなボンクラを演じてる方がいいっすね。死体になってもいい雰囲気を醸し出しております。その他の俳優はキモくて駄目でした。うむ。

この作品アメリカでもかなり酷評されたみたいだから、ギリアムは今後の作品がさらに作りにくくなるだろうなあ。