「Check It Out! with Dr. Steve Brule」鑑賞

ジョン・C・ライリーって奇妙な役者で、かつては「めぐりあう時間たち」や「シカゴ」「アビエイター」といったアカデミー賞クラスの映画に次々と出ていて、いずれ本人もオスカーを穫るんじゃないかと思われていたのが、数年前から「ウォーク・ハード ロックへの階段」とか「俺たちステップ・ブラザーズ 」といったコメディに出演するようになって、なんかキワモノ路線に走っていったんだよな。

そんな彼が行きつく所まで行ってしまったような気がするのが、この「Check It Out! with Dr. Steve Brule」で、もともとはカートゥーン・ネットワークのアダルトスイム枠でやってる「Tim and Eric Awesome Show, Great Job!」という非常にシュールな番組にゲストとして出演していたのが、こんど独自の番組を持つことになったというもの。

80年代のコミュニティ・チャンネルのニュース番組のような形式をとりながら。ライリー扮するブルール博士が「食べ物」や「家族」といったテーマを毎回チェックしていく内容らしいんだけど、焦点の定まらない目をしてろれつの回らない口調で話すブルール博士の姿は愉快というよりもはっきり言って不気味。番組のゲストとして出てくる連中も変人ばかりだし、VHSで撮ったような汚い映像(でも実はHD撮影)と雑な編集がさらに内容をシュールなものにしている。全体的な雰囲気はMTV2の「WONDER SHOWZEN」に似ているかな。やはり個人的にはアダルトスイムの番組って笑いのツボが全然かみ合わんな。

でも別にジョン・C・ライリーのキャリアが迷走しているわけではなくて、今後もいろいろ映画に出演が決まっているみたいなんだけど、そろそろ「ギャング・オブ・ニューヨーク」とかで見せたような真面目な役もまた演じてほしいところです。

「THE GOOD GUYS」鑑賞

なんか不思議な時期に始まったフォックスのTVシリーズ。基本的にはアクション・コメディで、露骨に80年代の刑事ドラマのパスティーシュになっている。

主演の刑事2人組を演じるのは、トムの息子ことコリン・ハンクスと「ザ・ホワイトハウス」のブラッドリー・ウィットフォード。前者はドジだけどもっと真剣な事件を扱いたがっている若手刑事で、後者は25年前に知事の息子を救出したことで一躍有名になってものの、今は飲んだくれで時代遅れになっている刑事という設定。この凸凹コンビが組んで事件を解決していく内容になってるんだけど、2人の行動に手を焼く上司とかも含め、過去の刑事ドラマの焼き直しという感は否めない。

本国ではビースティ・ボーイズの「サボタージュ」のPVのドラマ版なんて言われているようだけど、まあこの古くささをどうやって面白さに昇華させるかが今後の課題だろうな。第1話を観た限りではマヌケなメキシコのカルテルの一味や、臆病だけど口の達者な黒人の質屋とか、人種のステロタイプな扱いが見受けられるのも気になる。あと捜査が行ったり来たりしているというか、なんか話のテンポが悪いんだよね。この話を監督したティム・マシソン(「ザ・ホワイトハウス」の副大統領だよ)はアクション系の番組を撮るのは巧くて、ここでも最後のカーチェイスなんかはよく撮れてるんだけど、コメディには向いてないような。さらに言うとウィットフォードもコメディ向きではないじゃないの。「Studio 60 On The Sunset Strip」とかのほうがずっといい演技してたぞ。

本国での評判もイマイチのようなので、早急にパロディとドラマの正しいバランスを見つけないとあまり長続きしないのでは?昔の刑事ドラマへのオマージュという意味では「ライフ・オン・マーズ」のほうが100倍くらい面白かったぞ。

「THE CUBE」鑑賞


ヴィンチェンゾ・ナタリのやつではないよ。ジム・ヘンソンがマペットたちに専念する前の1969年に作ったTVムービーだそうな。

男性は気がつくと立方形の部屋の中にいた。そこは床も壁も天井も白いタイルで覆われた何もない部屋で、ドアさえも存在しなかった。男性がどうにか部屋から出ようと努力する一方で、外からは部屋のマネージャーと名乗る人物や用務員、ミュージシャン、警官などといった人々が入ってきて男性といろいろ会話をしていき、それにあわせて家具が現れたり消えたりしていく。部屋の外から来た人々は自由に出て行くことができるのだが、男性だけはどうしても外に出ることができない。そして外から来た人の一人がこう告げるのだった。「ここから出るには、あなただけのドアを見つけなさい」と…というのが大まかなプロット。

いわゆる不条理劇的な内容であって話はまったく前に進まず、54分という尺はちょっと長過ぎる気もしなくはないが、部屋を訪れるさまざまな人物とのやりとりとか、それなりに凝った特殊効果を観てるだけでも面白いかと。博士らしき人物がやってきて「あなたはいまTVムービーのなかにいるのです。ほら、このテレビにあなたが映ってるでしょう」なんて言ってテレビを見せるというメタな展開もあったりするぞ。ちょっとゾクっとさせる結末もいいな。

その名もずばり「NBC Experiment in Television」というTVシリーズの1エピソードとして作られた作品らしが、昔はこういう実験的な番組も地上波で流される余裕があったことが伺える。ご存知のようにこのあとジム・ヘンソンは「セサミ・ストリート」や「マペットショー」といった傑作を生み出していったし、こんど続編が製作されるという「ダーク・クリスタル」は俺のとても好きな映画なのですが、もし彼がマペットに関わらなかったらどんな映像作家になってたかな、と思わせてくれる小品であった。ここでぜんぶ観ることができるよ。

「LUTHER」鑑賞

日本では殆ど知られてないけどイドリス・エルバっていうイギリス出身の俳優がおりまして、「ザ・ワイヤー」で麻薬組織の知的でクールなナンバー2であるストリンガー・ベルというキャラクターを演じた事であのドラマのファンのあいだでは今でも高い人気を誇る俳優なんだが、「ザ・ワイヤー」以降は「オブセッション 歪んだ愛の果て」とか「THE LOSERS」みたいな演技力をあまり必要としないような映画にばかり出ていてファンを嘆かせている人でもあるのですよ。そんな彼がイギリスに戻って主演したのがこの「LUTHER」というミニ・シリーズ。

ロンドン警察の刑事であるジョン・ルーサーは敏腕だが、自分なりの捜査を勝手に進めることや、精神的に不安定な面があって上司の悩みのタネだった。彼は追っていた連続殺人犯を昏睡状態にさせたことで休職扱いにされ、妻とも別居してしまう。そんな彼が7ヶ月ぶりに職場に戻って手がけることになったのが、一軒家における夫婦の射殺事件だった。彼は第一発見者である夫婦の娘が犯人であることを見抜くものの、頭脳明晰なサイコさんである娘は殺人の手がかりをすべて抹消していた。さらにこれによって娘はルーサーを次の標的にすることに決め、娘とルーサーの頭脳戦が始まるのだった…というようなストーリー。

BBCの猟期殺人サスペンスという点では10年くらい前に観た「MESSIAH」というシリーズに雰囲気が似ているかな。刑事が犯人の恨みをかって、奥さんが狙われる展開なんかも同じ。そういう意味では既存の刑事ドラマに比べてあまり目新しいところはなし。イギリス訛りの英語を話して情緒が不安定なルーサーはストリンガー・ベルと正反対のキャラクターで、それなりにラフな魅力とかはあるんだけど、妻の不倫を知ってドアを突然破壊するようなキャラに感情移入はしづらいかも。むしろ殺人犯を演じるルース・ウィルソンのサイコっぷりが光っていて、そちらを2話以降も観てみたいと思わせる好演だった。

というわけでストリンガー・ベルの再来を期待してると肩すかしをくらうかもしれないが、イドリス・エルバは今後もいろいろ映画に出るみたいなので、いずれ彼の演技力をフルにいかした作品が作られることをねがいましょう。

「PARTY DOWN」鑑賞

Starzチャンネルのコメディ番組「Party Down」のシーズン2の第1話がポッドキャストで無料配信されてたので観てみる。

いま流行りのラフトラックなしのドキュメンタリーっぽいコメディで、映画スターやミュージシャンを目指しつつもハリウッドでパーティーのケータリングをして暮らしている若者たちを中心に、どことなくクセのあるケータリングのスタッフとパーティーの主催者たちとのやりとりを描いたものになっている。俺が観たエピソードでは、マリリン・マンソンばりのロッカーのバックステージ・パーティーを舞台に、普通の暮らしに憧れるロッカーとケータリングのスタッフの一人が入れ替わって…というような話だった。

あまり派手なドタバタはなくて、どちらかといえばダウンビートなコメディなので万人受けはしないだろうけど、それなりに面白かったですよ。「ヴェロニカ・マーズ」と原案者が同じということであの番組の出演者がいろいろ顔を出しているらしい。シーズン1はジェーン・リンチがレギュラーだったそうだけど、あの人は「GLEE」で忙しくなってしまったので降板し、代わりに「ウィル&グレイス」のメーガン・ムラーリーがキャストに加わっていた。個人的には怪しいオタクを演じさせれば唯一無二のマーティン・スターが出ているのが嬉しいな。