なんかアダルト・スイムが、インフォマーシャルばっかり流してる朝4時にとつぜん放送した動画らしいが…70年代のシットコムのオープニングの無邪気なパロディかと思いきや、だんだん変な方向に向かっていって、ついでに刑事ものやSF番組ものパロディになって、人がどんどん惨殺されるという…。グロとナンセンスはアダルト・スイムのお家芸ではあるのだが、何の告知もなしにしれっと放送してしまうセンスがいいな。12分と少し長めだが、観てるうちにちょっとラリってくるので周りに人がいないときに観るのをおすすめします。高画質版はこちら。
「Life Itself」鑑賞

昨年亡くなった映画評論家ロジャー・イバート(エバート)の伝記ドキュメンタリー。晩年に執筆した同名の自伝を基にしたもので、映画論などよりも人としてのイバートに焦点をあてた内容になっている。
若い頃からジャーナリズムに興味のあったイバートは、大学卒業後に地元イリノイの新聞社シカゴ・サン=タイムズに雇われ、そこで映画批評の記事を書いて若いうちから頭角を示していく。イバートのナレーションや知人たちへのインタビューによって当時のことが語られていくのだが、なぜ彼が突然ラス・メイヤーの映画に共感し、カルト映画「ワイルド・パーティー」の脚本を書くことになったのかについては、未だに知人たちが当惑しているのが興味深い(「おっぱいだよ!」という明確な説明もされるのだが)。
そして1975年には映画評論家として初めてピュリツァー賞を受賞し、それからライバル新聞社の評論家であるジーン・シスケルと組んで「Two Thumbs Up!」で有名な映画番組「At The Movies With Gene Siskel & Roger Ebert」を製作してお茶の間の人気者になっていく。シスケルとは長年のパートナーでありながら、性格的にも映画の好みも正反対で、番組の挨拶を撮影するのも口喧嘩して何度も撮り直ししてるのが印象的であった。番組は全国規模のものになりながらも、自分が気に入った作品は公開館が少ないものでもきちんと紹介し、若手作家たちの映画もイバートはきちんとチェックしていた。また無名時代のマーティン・スコセッシをきちんと評価し、彼が有名になったあとでも評価できない作品(「ハスラー2」)についてはしっかり酷評したとスコセッシ自身が語っている。
なお冒頭から晩年の彼の入院シーンで始まり、彼の健康状態が決して良いものでないことが明確にされているわけだが、ガンによって下あごの骨を摘出し、顔の下半分はただブラリと顔に垂れ下がり、苦痛で顔を真っ赤にして看護婦から気管の吸引を受けている姿などは実に痛々しい。すべてをさらけ出したいというイバートの意向によりリハビリの光景なども撮影されており、奥さんがとにかく献身的で偉いんですよ。しかしガンが転移していることを知り、「このドキュメンタリーの完成を目にすることはないだろう」と悟ったように語るシーンが物悲しかった。声を失ってからもtwitterなどでは精力的な書き込みをしており、大統領選挙などについても的確なコメントをしてたのだけど、その裏では苦しい闘病生活をしていたのだなあ。
観ることによって新しいことを発見できるようなドキュメンタリーではないものの、ロジャー・イバートという芯の通った映画評論家がいたんだよ、ということを後世に伝えるものとしては最良の作品でしょう。
「Constantine」鑑賞

ヴァーティゴ・コミックスの「ヘルブレイザー」…もとい、DCコミックスの同名作品を原作にしたNBCの新シリーズ。
キアヌ君がアメリカンなバージョンを演じていた映画版とは異なり、こっちのジョン・コンスタンティンは金髪のイギリス人でコミック版によく似た外見を持っている。冒頭ではちゃんとイギリスのレイヴンスカー精神病院に収容されているものの、マーケットの都合もあって舞台はすぐさまアメリカに移ります。そこで彼は幽霊を見ることができるイヴという少女を悪魔から救い出し、2人は悪魔退治のために全米横断の旅に出る…という展開になるはずだったのが、イヴ役の女優が第1話のあとで降板してしまったため、別の女性(原作のゼドね)が登場することになるらしい。
原作(特にヴァーティゴ版)では結構えげつないキャラクターだったコンスタンティンだが、こっちでは比較的おとなしめ(?)になってる感じ。エクソシストという肩書きで呪文や魔法陣などで悪魔と戦うのだが、毎回そんな展開だったらすぐ飽きてしまいそうだな。コンスタンティンは他のコミックに脇役で出ているほうが、謎めいた雰囲気があって面白いとずっと前に書いたけど、主人公のミステリアスな感じをどこまで保てるかな。むしろドクター・フェイトのヘルメットなんかが登場してるので、DCコミックスの魔法キャラが登場するスーパーヒーローものになるのかな?
ちなみに原作では大酒飲みのヘビースモーカーという設定だが、地上波ネットワークの番組なので飲酒・喫煙シーンは一切なし。これは早くからファンのあいだで論争の的になってたけど、まー仕方ないわな。むしろ「酒場でタバコを消す」シーンなどを挿入することで頑張っている製作側の努力を認めてあげましょう。
舞台がアメリカになったため、コンスタンティンの姉とか姪などは登場しないかな?でもニューカッスル時代の知人なども登場してるので、どのくらい原作のネタが使われることになるんだろう。なおコンスタンティン唯一の友人であるチャズは登場して相変わらずタクシー運転してますが、なんか不死の存在みたいな設定になっていて、実は彼がいちばんコミックと異なるキャラクターになっているかもしれない。
第1話を観た限りではかなり粗削りな出来になっていて、主演のマット・ライアンも力を入れすぎた演技をしているように思えるのだが、決して悪い内容ではないので、今後の展開(特に「スーパーナチュラル」の二番煎じと思われないこと)に期待。
「Space Station 76」鑑賞

低予算のSFコメディ。
舞台となるのは宇宙の片隅にある宇宙ステーション76。そこの機材はオンボロであり、住むクルーたちもストレスや退屈さなどで何かしらの問題を抱えていた。そんなとき新しいクルーとしてジェシカが派遣されてくる。最初は彼女を優しく迎えるクルーたちであったが、ステーションの暗黙のルールに気づかない彼女の言動のためクルーたちの関係はギクシャクしていき…という内容。
トレーラー観れば分かるがスタイル的には60〜70年代のSF映画のパスティーシュとなっており、サントラもトッド・ラングレンをはじめとした70年代ロックがふんだんに使われている。小道具やデザインなども細かいところまで凝っていて、外見的にはよく出来てるんですよ。ただ肝心のストーリーが…パロディとかアレゴリーになるわけでもなく、ただ気まずい展開が次々と続くだけというか。ダウナーな展開があっても「ダーク・スター」みたいに深みがあるわけでもなく、なんか脚本が稚拙だなぁ、という印象。監督がゲイだそうなのでセクシャリティに関するセリフもいろいろ出てくるのだが、どれも凡庸なものばかりだし。
監督のジョン・プロトニックってこれが初監督作品らしいが、俳優としては多くの作品に出ているらしく、そのつてによるものか出演者は比較的豪華。ジェシカ役がリヴ・タイラーで、隠れゲイの艦長を演じるのがパトリック・ウィルソン。他にもマット・ボマーやジェリー・オコンネルなんかが出ています。チョイ役で「2001年宇宙の旅」のキア・デュレラまで出してしまうサービスっぷり。逆にこれだけの役者を揃えておいてこの出来で終っているのがすごく勿体ないのだが。
せめて70年代ロックでノリノリの前半のペースを保ってくれれば、スタイルだけは楽しめる作品になれたかもしれないのに、後半は微妙にシリアスな会話劇になってしまっているのが残念であった。
「THE AFFAIR」鑑賞

Showtimeの新作シリーズ。
ノアはニューヨークの公立学校の教師で、初めての小説を出版し第二作に取りかかろうとしていた。彼は妻と4人の子供を持ち、それなりに充実した生活を送っていたものの、子供たちにジャマされて妻とセックスできないことや、妻の裕福な両親に経済的に頼っていることなどに漠然とした不満を感じていた。そんな彼は夏の旅行で家族を連れて妻の実家のあるロングアイランドに行ったとき、カフェテリアのウエイトレスであるアリソンと出会う。遊び人の夫を持ち、子供を4年前に亡くしていたアリソンは日々のしがない生活に嫌気がさしていたが、ノアを一目見て惹かれるものを感じる。そして彼らはノアの妻の実家の近くで再び出会い、親密な関係になっていくのだが…というプロット。
題名のとおりノアとアリソンの不倫関係を軸にした内容だが、ストーリーの語り方が少し変わっていて、ノアとアリソンのそれぞれの観点から出来事が語られ、それでいて事実が微妙に食い違っていたりする(誰が最初に誘ったか、など)。しかも彼らは数年後に別々に、警察の尋問係らしき人物に物事の顛末を語っていることが示唆され(これっちょっと「トゥルー・ディテクティブ」に似ている)、いったい彼らの間に何が起きたのか?ということが徐々に明かされていくスタイルをとっている。決してサスペンスとかではないのだけど、単なるメロドラマにならずに面白い味付けをしているといえよう。
ノア役がドミニク・ウエストで、アリソン役がルース・ウィルソン。イギリス人の役者はここでも活躍してんなあ。ノアがやけにモテることが冒頭から描写されてるんだけど、ドミニク・ウエストってそういうタイプなのかなあ。「ザ・ワイヤー」のマクノルティもスケコマシだったし。ルース・ウィルソンは「刑事ジョン・ルーサー」のサイコなアリス役が強烈に印象に残ってるけど、こちらでは演技が控え目。でも子供の命日に墓前で泣きながら本を読んであげるあたり、やはりキリキリした感じが伝わって結構怖いです。あとはノアの妻をモーラ・ティアニーが演じて、アリソンの夫をジョシュア・ジャクソンが演じているなどキャストは比較的豪華。あとノアの妻の父親を「ザ・ワイヤー」のロールズ署長ことジョン・ドーマンが演じているのだが、こんなところで「ザ・ワイヤー」の犬猿コンビの復活が拝めるとは思ってもいなかったよ。いちおう仲のいい義理の親子を演じているのだけど、「ザ・ワイヤー」での2人の役を知ってるとちょっとドキドキしてしまった。
海外ではかなり高い評価を得ているようだけど、そのストーリーの語り方の特異性もあり、もうちょっと話が進まないとどういう番組になるかが全く分からんな。でも手堅く作られた作品だと思う。