「State of Affairs」鑑賞

State of Affairs, Season 1
「グレイズ・アナトミー」でちょっと人気出たので、契約途中にも関わらず番組を足蹴にして映画のほうに進出したものの、あまりヒット作に恵まれなくてテレビ業界に戻ってきた(と俺は聞いている)キャサリン・ハイグル主演の新シリーズ。

CIAのアナリストであるチャールストン(チャーリー)・タッカーは、機密文章である「大統領日報」に掲載する案件をとりまとめ、大統領に毎朝提出する業務を担当していた。この日報によって大統領はその日の最重要課題を知り、必用な処置を命じるために、日報に何が掲載されるかが政局を大きく動かすことになるのだ。そして彼女のもとに、ケニアでアメリカ人の医師が誘拐されたというニュースと、テロ組織のリーダーが目撃されたという情報が入ってくる。医師の救出とテロリストの捕獲についてどちらも100%の確証が持てないなか、どちらを日報に入れるべきかチャーリーは悩むのだが…というようなプロットが第1話。

これ単にどちらも報告して、大統領の指示を仰げばいいんじゃね?と思うのだが、まあそれをやったらドラマの醍醐味がないということで。大統領日報(PDB)は確かに非常に重要な情報が記された文章であるらしいのだが、それを編纂する主人公にやけに強大な権限が与えられているような。テロリストを目撃したと報告した軍部に対して「もっと確証を高めてから連絡して!」とはねのけてるし、CIAの元知り合いを使って海外の首脳のボディチェックをやらせたりと、もう何でもやり放題。そんな彼女を快く思わない上司や軍人からは「それお前の業務じゃないだろ!」と怒鳴られてるのですが、その通りですハイ。

どんな機密文章だろうと日報の編纂なんて退屈なデスクワークだと思うのだが、書類をカバンにつめて外出するシーンにまでサスペンス音楽をかぶせていて、いろいろ盛ってんな、という気にならざるを得ない。あと大統領(アルフレ・ウッダードだ)の息子がチャーリーの婚約者だったのだが、1年前に海外の任務において死亡するという事件が起きており、その裏には何があったのか?というのがシリーズを通した謎になるみたい。

まあ全体的に凡庸なドラマですかね。キャサリン・ハイグルもテンパった演技をしているだけだし、本国の評判もあまり良くないようなのでそんなに長続きはしないかと。

「インターステラー」鑑賞

interstellar-poster
封切りしたばかりなのでネタバレにならぬよう感想をざっと:

・アンチの声は気にするな。あれだけハードなSFをきちんとブロックバスター映画に仕上げたノーランの手腕は評価されるべき。

・とはいえ科学や物理に疎い俺でも「あれ?」と思うようなプロットの穴がワームホールのようにぽっかり開いているわけですが、細けえことはいいんだよ!

・ただしこの話って「2001年宇宙の旅」でやったことだよね?と思ったことも事実で、キューブリックがクラシック音楽とアシッドトリップ(みたいなもの)で抽象的に描いていたものを、下世話にオルガンをガンガン鳴らしてやり直した、と思われても仕方あるまい。

・マン博士って名前から勝手に中国系かと思ってたら、あの人が頭脳明晰な科学者でしたかそうでしたか。

・一家のうち父親だけがテキサス訛りで話すってことありえるのかな?子供たちも影響受けたりしない?

繰り返すが「ダークナイト(特にライジング)」同様にツッコミを入れようと思えばいくらでも入れられるのだが、安直な大作でなく考えさせられる映画を作って客を集めてるクリストファー・ノーランはちゃんと評価されるべきであろう。一見の価値は或る作品ですよ。

「シン・シティ 復讐の女神」鑑賞

Frank Miller's Sin City_ A Dame to Kill For
9年ぶりの続編。以前から公表されていた通り、原作のうち「A DAME TO KILL FOR」を主軸に置いたもので、語られる話は4つ。前作と異なりうち2つは映画版オリジナルの脚本となっている。セグメント順に説明すると:

「Just Another Saturday Night」
1話読み切りのやつが原作。タイトル前のちょっとした短編ですね。マーヴを演じるのは前作に続いてミッキー・ローク。

「The Long Bad Night (Part I)」
映画オリジナルの話。というか出版されなかった原作の話を使ってるのかな?ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるギャンブラーが街にやってきて、悪徳政治家に賭けを挑む。抜群の賭けのセンスを持つギャンブラーはカッコいいんだけど…。

「A Dame to Kill For」
これがメインの話。ドワイトを演じるのはクライヴ・オーウェンに代わってジョシュ・ブローリン(いちおうオーウェンにも打診はしてたらしい)。まあ原作通りの話かな。前作の「The Big Fat Kill」の前日譚だけどコンテュニュイティーがちょっと変なのは気にしないように。

「The Long Bad Night (Part II)」
メインの話をブックエンドするような形で続きが語られる。パート1ではカッコよかったギャンブラーがどんどんヘタレになっていくような…。終り方もしっくりこないのよな。

「Nancy’s Last Dance」
前作の「That Yellow Bastard」の続編。ハーティガン刑事の仇をとるために、復讐計画を企てるナンシーの話。殴り込みに加担するマーヴが強すぎるのと、ナンシーを演じるジェシカ・アルバのアクションの演技がなっちゃいないので、なんか長過ぎる蛇足のような話であることは否めない。

ミッキー・ロークやジェシカ・アルバ、ブルース・ウィリスなどは前作に引き続き同じ役を演じているが、9年のあいだに鬼籍に入った人もいるので(マイケル・クラーク・ダンカンとか)、一部の役はキャストが変更になっている。デボン青木が演じてたミホはジェイミー・チャンが演じてるが、あの能面顔はデボン青木のほうが似合ってましたね。強大な黒幕のウォレンキストをステイシー・キーチが演じてるが、あんなコテコテのメークを施したのなら誰が演じても同じだったろうに。なおジェシカ・アルバが相変わらず脱がないストリッパーを演じているのに対し、「DAME」役のエヴァ・グリーンはすっぽんぽんで頑張ってます。あとはクリストファー・ロイドとかロザリオ・ドーンとか、キャストは豪華なのよキャストは。

結末を知らない映画オリジナルの話のほうが楽しめるかと思ってたけど、脚本がなんか拙いのよな。最初の短編はテンポがよくて面白かったものの、後半になるとかなり失速してしまっているような。単純に原作の「Family Values」(珍作「To Hell And Back」は忘れよう)あたりを映像化すれば良かったのに。そうするとドワイトづくめになるから外したのだろうか。

ビジュアル的にはカッコいいし、皆のオーバーすぎる演技もそれはそれで似合ってるんだが、どうも全体的に盛り上がりに欠けているんだよな。いちおう3部作にする予定らしいけど、本作が興行的に失敗だったので続きは作られないかも。個人的に好きな「Family Values」が映像化されてないのがちょっと残念。

「SIMPSORAMA」鑑賞

THE SIMPSONS Meets ÒFuturamaÓ in a Special Crossover Episode!
過去に2〜3回打ち切られた「フューチュラマ」がまた帰ってきた!

といっても残念ながらシリーズがまた始まる訳ではなく、これは「シンプソンズ」におけるクロスオーバー的エピソード。「シンプソンズ」はこないだ「ファミリー・ガイ」ともクロスオーバーをやったのでギミックにばかり頼ってんなあ、という気はするもののプラネット・エクスプレスの面々がまた拝めるのは嬉しいこってす。

雷雨の夜にシンプソンズ家に現われた侵入者、それは31世紀からやってきたベンダーだった。ビール好きなことで彼とすぐに意気投合するホーマーだったが、実はベンダーの指名はホーマーを殺すことだった。しかしベンダーはそれに従えず、代わりにリーラやフライたちが過去にやってくる。実は31世紀のニュー・ニューヨークはホーマーのDNAを持った怪物たちに占領されており、壊滅状態なのだという。その原因を調べることにしたシンプソン一家とプラネット・エクスプレスのクルーたちだったが、怪物たちがタイムマシンを破壊したことで今度は皆が31世紀に行ってしまい…というプロット。

まあ「シンプソンズ」の黄金期(3〜8シーズンあたり)に比べるとジョークの密度も薄くなってて、ネタもベタになってはいるんだけど、記念すべきエピソードとして大目に見てあげましょう。「フューチュラマ」の主要キャストはみんな出演していて、ファンズワース教授とプロフェッサー・フリンクのマッドサイエンティストのコンビとか、通常はハロウィン回にしか登場しないカングとコドスがオミクロン星の大王様に出会ったりと、クロスオーバー回ならではの貴重なシーンが出てくるぞ。あとはバーンズ所長とマムの面会シーンとかがあれば完璧だったかな。フライの忠犬シーモアとか、「30世紀フォックス」のロゴなんていう小ネタも見逃せない。

実のところフォックスは「シンプゾンズ」をそろそろ終了させて、「フューチュラマ」をまた復活させるべきだと勝手に考えてるのだが…ダメですかね?

「TO BE TAKEI」鑑賞

To Be Takei
第二次大戦中は日系人の強制収容所で育ち、60年代に「スター・トレック」のスールー役として世界の人気者になり、そして2000年代になってからカミングアウトしてゲイのアイコンとなり、77歳にしてSNSで膨大なフォロワーを誇るという実は唯一無二の人生を送ってきたジョージ・タケイについてのドキュメンタリー。

旦那であるブラッド・アルトマンとの睦まじい夫婦(夫夫?)仲を紹介しながら、彼の生い立ちが語られていくもので、東京生まれでアメリカにやってきた父と、アメリカ生まれだが人種で隔離された学校を避けて日本で教育を受けた母とのあいだに生まれたジョージは、第二次大戦の勃発により一家の家財がアメリカ政府に没収され、カリフォルニアからアーカンソーの強制収容所に運びこまれ、終戦までそこで暮らすこととなる。ここらへんは日本人にとっても興味深い証言じゃないかな。

そして終戦後に解放された一家はカリフォルニアに戻り、父は中華料理屋の皿洗いから始めて再び家庭を支えることになる。青年になったジョージは当時から男性に興味があったわけだが、ここらへんのセクシャリティの目覚めについては結構フランクに語ってるのね。さらに彼は演技にも興味を持って役者を目指すのだが、最初にやった仕事は「空の大怪獣ラドン」のアメリカ版吹替の声優だったのか!それからテレビ番組の脇役としてあちこちに出演するようになり、やがて「スター・トレック」のスールー役を演じて世界的に名が知られるようになる。ジョン・チョウやBD・ウォンといったアジア系の役者が彼の影響についてコメントしてるけど、確かにアジア人の役者って当時少なかったからね。おれが初めて「スター・トレック」を観た80年代半ば当時でも、そんなにいなかったんじゃないのか。

役者の仕事のほかにも、博愛主義者だった父親の影響を受けて政治活動に関わるようになり、強制収容された日系人たちへの補償を求める運動も積極的に行なうようになる。そしてクリントン大統領に任命されて日米友好基金の理事をつとめ、日本政府からは旭日小綬章を授与されるのだが、式典に出るために東京へ行ったら、ブラッドが男性であるために式典への同席を拒否されたという話が明かされる。意外なところで日本の差別意識が指摘されたというか。

役者としての活動に影響が出ることを恐れ、長い間カミングアウトすることを控えていたものの(でも「トレック」のキャストにはバレてたし、当時からハリウッドにもハッテン場があったらしい)、シュワルツネッガーが知事として同性婚を認める法案を拒否したことに憤激してカミングアウトを決意し、それ以降はゲイの人権擁護のためにも積極的に活動。またハワード・スターンのラジオ番組の準レギュラーに起用されたことでさらなるファンを獲得し、Facebookを通じて数多くの人々と交流するさまが紹介されていく。

自由奔放なジョージと、良い人なんだけど心配性でカメラを常に気にしているブラッドのかけあいが漫才コンビのようで微笑ましい。その人柄から本当に多くの人たちに愛されているのが明らかで、コミコンとかに出ても大勢のオタクどもにあちこちで歓迎されているのがよく分かる。なおコミコンでウィル・ウィートンと再会したときに「太ったね」と言ったらウィートンが露骨に落ち込むシーンが出てくるのだが、どう見てもあいつ太ったからなあ…。

まあ自分の生い立ちや活動については以前からインタビューなどで積極的に語っていたし、ファンにとっては目新しい内容ではないものの、彼の経歴を紹介する意味では格好のドキュメンタリーではないでしょうか。いま日本のテレビでは「海外で活躍する日本人」をとりあげるのが流行ってるみたいだけど、彼も取り上げればいいのに。ジョージ・タケイほど世界で愛されてる日系人はそういないよ!