「ドクター・フー」シリーズ7開始


やっと始まりましたよシリーズ7。最近はイギリスとアメリカで同日に放送されるようになったので欧米の人たちはみんな首を長くして待っていて、知らぬは極東の日本人のみ。

前にも書いたようにシーズン6はサイレンスやらリバー・ソングやら「宇宙最古の質問」などといった謎というか伏線が乱雑していていまいちスッキリ楽しむことができなかったのですが、少なくともこのシリーズ7の第1話はサスペンスが満載で、最後にホロリとさせてくれる優れたエピソードであった。

今回のシリーズに先駆けてウェブで公開されたミニエピソードで示唆されたようにエイミーとローリーの夫妻が別居状態でいるところから話が始まり、ドクターが2人の仲を修復しようとするばかりでなく、ダーレクの集団に3人は拉致され、ダーレクの監獄だという惑星に送り込まれることに。そこで彼らが出会ったのは…という話。エイミーとローリーに代わってシリーズ途中から新しいコンパニオンになる女の子も出てきて、あれ彼女はクリスマス・スペシャルで初登場するんじゃ…と思いきや意外な展開が待ち受けていて面白かった。ジェナ=ルイーズ・コールマン演じる新しいコンパニオンは可愛くていいなあ。ドブスのローズの時代から大きく進展しましたな:

このあとはまた話がいろいろ複雑になってくるんだろうが、リチャード・E・グラントやダイアナ・リグなどといった俺好みの役者が出てくるらしいので期待せずにはいられない。そろそろ謎を一つくらい解決してくれてもいいような気もするけどね…。

「The New Normal」鑑賞


こんどNBCで始まるシットコムで、クリエーターは「GLEE」のライアン・マーフィー。

ブライアンとデビッドは幸せに暮らすゲイのカップルだったが、子供を持ちたいと考えて代理母の候補をあたるうちに、ウェイトレスとして働くゴールディーというシングルマザーに出会い、彼らの子供を出産してくれるように依頼する。しかし口うるさいゴールディーの祖母はそれを好ましく思わず…というようなプロット。

ゲイとレズビアンのカップル、代理母、シングルマザー、ドラッグクイーン、身体障害者などアブノーマルな人たちがいろいろ出てきて、「アブノーマルこそ新しいノーマルだよ!」と劇中で高らかに宣言されるという、ライアン・マーフィーの主義主張が露骨に反映された内容になっている。主張自体は結構なのですが、そのおかげでストーリーが割りをくってしまってるのはいかがなものかと。「GLEE」もシーズン2の半ばあたりからゲイの主張がやたら幅を利かせるようになって辟易したのですが、マーフィーはそこらへんもうちょっと控え目にすればいいのにね。

キャストはゴールディーの祖母をエレン・バーキンが絶妙な毒々しさをもって演じているほかは、よく知らない人たちばかりかな。ゴールディーを演じるジョージア・キングってイギリスの女優さんらしいですが、ちょっとブサカワイイところが薄幸なシングルマザーの役に似合ってますな。

こういう内容の番組が放送されるあたり、シングル・マザーが登場するだけで非難されてた「マーフィー・ブラウン」の時代に比べるとアメリカのTV事情もずいぶん寛容になったなと思うものの、例によってユタの放送局からは放映を拒否されるというゴタゴタも起きているようなので、視聴率的には苦戦するかも知れない番組。

「Parade’s End」鑑賞


今をときめくベネディクト・カンバーバッチ主演の、BBCとHBOが共同製作したミニシリーズ。ということは当然HBOでも放送されるんだろうが、こういうイギリスの時代物の番組ってアメリカのどこらへんの視聴者層が観るんだろうね。「ダウントン・アビー」などがヒットしてるので需要があることは分かるんだが。フォード・マドックス・フォード(って誰だ)の4部作の小説が原作で、脚本はトム・ストッパード。冒頭で物語の時系列が前後するあたりは、ストッパードらしいと言えるのかしらん。

舞台となるのは20世紀初頭。主人公のクリストファー・ティージェンスは裕福な名家の出身で才能ある公務員だったが、自由奔放なシルヴィアという女性と情事を持ったために彼女が妊娠し、嫌々ながらも結婚する羽目になる。その後もシルヴィアは家事や育児を放ったらかして他の男性との不倫を平然と行い、クリストファーの鬱憤は募るばかり。そんなとき彼は女性運動に関わるヴァレンティンという若き女性と出会い、彼女に惹かれていくのだが…というようなプロット。

頭脳明晰なシャーロック・ホームズとはうってかわって、2人の女性のあいだでオロオロする男をカンバーバチが好演。彼を手玉にとるシルヴィアをレベッカ・ホールが演じているんだが、どことなくスカーレット・ヨハンソンに似ていてビッチな演技がよく似合ってる(要するにスカヨハがビッチということです)。あとは主人公の友人をスティーヴン・グレアムが演じてるけど、あの人は役にとけ込むのが上手すぎてすぐに彼だと分からないんだよな。

今後は主人公が第1次世界大戦に出征したりして派手な展開があるようなのですが、第1話は優柔不断な展開が続くメロドラマといった感じであまり好きにはなれなかったよ。カンバーバッチはこういう他の番組出る前に、まず「Sherlock」を撮り終えようよ!

XTCの知られざる名曲たち

8月ももうすぐ終わりだが夏休み特集ということで、俺が愛してやまないイギリスの老舗バンド、XTCのアルバム未収録曲を(ほぼ)リリース順に紹介していくのだよ。XTCはシングルB面やホームデモにも名曲がたくさんあるバンドで、古くは「BEESWAX」や「Rag and Bone Buffet」、最近では「Coat of Many Cupboards」などと未発表曲を集めたコンピレーション・アルバムも出されているものの、それにも収録されてない曲やバージョン違いのデモとかがあって、なかなかコレクター泣かせのバンドなんだよね。そんな中でも個人的に好きなのは以下の通り:
Hang on to the Night

まだキーボードにバリー・アンドリューズがいたころの曲。この頃のサイケなXTCに影響を受けたバンドって沢山いると思う。1:30あたりのキーボードソロが好きです。

2枚目のアルバム「GO 2」のときはダブのミックスを加えたボーナスアルバムやアンディのソロアルバムなども出てるのだが、あれらは出来が良くないので割愛。

The Somnambulist

4枚目のアルバム「ブラック・シー」からの比較的異色なB面曲。彼らはB面にいろいろ実験的な曲を詰め込んでいた。この頃は後に「Homo Safari」としてまとめられる一連のインスト曲もB面に入れてたけど、あれらはあまり好きではないです。

Tissue Tigers (The Arguers)

大ヒットしたシングル「Senses Working Overtime」のB面に収録されてた曲。へたなバンドのA面シングルよりも名曲だろ。

Blame the Weather

同上。コリン・ムールディングの哀愁あるボーカルが渋いね。

Desert Island

6枚目のアルバム「ママー」はフォーク調で地味なので見過ごされることも多いが、俺は好きだ。この頃の曲では「Toys」もお勧め。

The Troubles

透明ビニールを使っていた12インチ版「The Meeting Place」のB面曲。プロデュースされてないホームデモなのにこのクオリティ。歌詞も結構好きです。

ちなみに8枚目のアルバム「スカイラーキング」は「ディア・ゴッド」というB面曲がアメリカで何故か大ヒットして、彼の国ではXTCの代表曲のように扱われてるのですが、あれあまり良い曲でもないよねえ。

Everything

「オレンジズ&レモンズ」の頃のデモ曲。ファンクラブ限定のカセットテープで俺が最初に聴いたのと、上の動画のものは弱冠バージョンが違うような気がする。

Cherry In Your Tree

XTC最後の名曲だと俺が勝手に思っている曲。PCゲームのイメージアルバムという変な媒体で発表されたもので、彼らの公式なアルバムには収録されてないんじゃないかな?

他にもお勧めしたい曲はたくさんあるのですが、かつてはレコード屋を探索したり通販で取り寄せてた曲も最近ではYoutubeなどで一発で検索できるようになったので、興味がある方はいろいろお探しあれ。最後におまけでアンディによるロックンロールの歴史を:

「ザ・レイド」鑑賞


あまり良く知られてないインドネシア映画「ザ・タイガーキッド~旅立ちの鉄拳~」の監督(ウェールズ人)&主演(東南アジアの格闘技シラットの達人)のコンビによる新たなアクション映画。

ストーリーは極めて単純で、ジャカルタの麻薬王とその部下たちが住むスラム街のビルに、彼らの撲滅を計画した機動隊の一隊が奇襲を試みるものの、鉄壁の守りを誇るゴロツキたちの前に彼らのことがバレてしまい、逆に狩られる身になってしまう。そして機動隊の隊員は1人また1人と殺されていき、どうにか生き残った主人公とその仲間たちはビルからの決死の脱出を図るのだが…というようなプロット。

最初の30分くらいは機動隊とゴロツキどもの銃撃戦がメインで、血と肉が飛び散るFPSゲームばりのアサルトライフルによるガンファイトが繰り広げられるぞ。そして機動隊員の数が減り、彼らの弾薬が尽きたところでゴロツキたちも都合よく銃を使わなくなるんだが、そこから先は主人公を中心としたシラットによる肉弾戦が続き、壁を破り床を突き抜けるバトルが堪能できる。当然ながらワイヤーアクションなどは皆無だし、カンフー映画に比べて技がコンパクト(肘打ち・ヒザ蹴りが多い)なものの、主人公の動きがハンパじゃないうえにカメラワークも巧みで拍手したくなるくらいに見事な格闘を見せてくれるぞ。主人公に負けじと機動隊の隊長も熱い戦いをするんだが、あの役者は柔道の選手だったのか。

なおラスボス的な人(すんごく強い)は「タイガーキッド」で準ラスボスみたいな役を演じてた人で(エレベーターの人)、またお前と戦うのかよ!といった感じでしたが、ああいうアクションが出来る人が少ないんだろうね。実生活ではシラットのインストラクターやってる大ベテランらしい。

麻薬王の登場シーンが「白いランニング着てラーメン食ってる」というのはどうもカッコ悪いし、ビルの中に主人公の○○がいるというのは都合良すぎる気もするけど、細かいことは考えずにひたすら続くアクションを楽しみましょう。あと「タイガーキッド」もそうだったけど、敵はたくさんいるのにみんな1人ずつ襲ってくる展開が多かったかな。1人対複数のバトルの演出が今後のさらなる課題かもしれない。

インドネシアはおろかアメリカでもヒットを記録し、続編やアメリカ版のリメークの製作も企画されているとのことで、バイオレンス描写がOKな人は観ておいて損しない作品でしょう。