今年はおそらく例年並みに鑑賞していると思うのだが、ハリウッドのストで大作がいろいろ公開延期になったことや、海外のメディアでベストに選ばれている「オッペンハイマー」「Past Lives」「Blackberry」などをチェックできてないこともあり、なんか不完全燃焼になっている感がなくもない。そのため昨年同様にちょっと無理に10本選んだ感もあるが、以下は順不同で。
「レッド・ロケット」
ダメ男が主人公の映画は他人事とは思えないので点が甘くなるが、ほぼ無名の俳優を揃えた低予算映画ながらテキサスの田舎町の情景を美しく描き、ポルノ業界で再び成り上がろうと無垢に奮闘する主人公とかが非常に素晴らしいのよ。
アイルランドを舞台にした映画は点が甘くなる。マーティン・マクドナー作品の集大成的な感じ?不条理劇のようなものとして自分は楽しめた。
ラストはいまいちだったというか、どうやって終わったかもよく思い出せないのだけど、それまでに至るオカルトというか怪現象の積み重ねが自分の好物だったので挙げておく。
『Personality Crisis: One Night Only』
今年のスコセッシ映画は「フラワームーン」よりもこっちでしょう!クラブで歌いながら自分の過去を語っていくデビッド・ヨハンセンが渋いのよ。
今年のスーパーヒーロー映画はイマイチなものが多かったなかで(でも「フラッシュ」も「マーベルズ」も酷評されるほどの出来ではないと思うが)、きちんと話を盛り上げてトリロジーを終わらせた秀作。ジェームズ・ガンによるDC映画の立て直しにも期待しましょう。
クリフハンガーで終わる2部作の前編ということで評価しづらいところもあるが、今年は「長靴をはいた猫」および「ミュータント・タートルズ」ともに、「スパイダーバース」前作で開拓された、マンガ的2D表現を多分に用いたCGアニメの傑作が並んだ年であったことは特筆されるべき。
クローネンバーグ家では息子が着実に力をつけてきている。まだ荒削りなところもあるけれど、このあとの「スーパーカンヌ」への期待も込めて。
「バービー」
まあ今年大きな話題になってスマッシュヒットを飛ばしたという点だけでも、ベストに含めてよいのではないでしょうか。男性から見るといろいろ痛いというか身につまされる作品であった。
こういう、「これぞSFアクション」的な作品は好きよ。ニール・ブロムカンプが変な方向に行ってしまった一方で、ギャレス・エドワーズがこういうのを作ってくれて助かる。
飛行機のなかで見たのと、思ったよりもアクション要素が低いのがマイナスではあるけれど、それでもこういうイギリスのインド人家庭の映画って好きなのです。
相変わらず散漫だな。あとは「How To Blow Up A Pipeline」「Master Gardener」「君たちはどう生きるか」とかが良かったかも。