「アベンジャーズ/エンドゲーム」鑑賞

絶賛公開中なので感想をざっと。以下はネタバレ全開なので注意。

  • 戦闘シーンが続いてばかりだった前作に比べ、今回はプロット重視になっていて断然楽しめる出来になっていた。キャストも指パッチンされた面々がいなくなった分、ストーリーがアベンジャーズの主要キャラ(プラス数名)のみに専念されて話がグイグイ進み、3時間という長尺が気にならない展開であったよ。しかし前作のラストで活躍が期待されたキャプテン・マーベルが強力過ぎて、話にほとんど関わらないのはご愛嬌。
  • タイムトラベルが絡んだストーリーの常として、いろいろパラドックスとがが気になるのだが、まあそこは真面目に考えても仕方ないでしょう。これが過去のMCU映画を再び訪れるという仕掛けになって、ナタリー・ポートマンやレネ・ルッソ、さらにはロバート・レッドフォードといった役者などが再登場していたのは見事なファンサービスでしたな。いっそエドワード・ノートンとかテレンス・ハワードなんかもしれっと再登場させれば良かったのに。
  • サノスがあまり面白くない敵役なのは相変わらずで、しかも今回は主人公たちよりも知っている情報が少ないという損な役回りなのですが、彼の戦闘シーンは最後に1つだけ大きいのを持ってきたのは存在感があってよかったかと。
  • 前作、もしくは他のMCU映画からの伏線をきれいに畳んでいく内容ではあるものの、前作でバナーがハルクに変身できなかった理由って結局なんだったの?あれは大きな伏線かと思ってたのに。
  • ホークアイの日本語は何を言ってるかわからないので、字幕つけたほうが良いのでは。
  • アントマンとウォーマシーンは「オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式」の内容を知っていた。
  • まあMCU映画の1つの終わりを飾る作品ではありますが、フェイズ3の終わりでもないし(今度のスパイダーマンがそうらしい)、MCU映画も利益を生む限りはこれからもどんどん作られますからね?こういうフランチャイズ映画ってキャストが歳をとってしまうのが一番の問題であったが、マイケル・ダグラスとかの顔がCGで若返ってるのを見ると、この映画で降板するはずのキャラクターたちも、いずれまた不気味なほど若返って再登場して、ディズニー帝国の陽を沈ませないのではないか、と思わずにはいられないのです。

「シャザム!」鑑賞

DCコミックス原作の映画だが、予算感としては中規模なんじゃないかな?主役のキャラクターは嫌いじゃないがそんなに思い入れはない。フォーセット・コミックスでブイブイ言わせていた時代なぞ当然知らないので、DCに移ってスーパーマンの二番煎じに甘んじていたヒーロー、という印象が強いのよね。個人的に好きなコミックははまだキャプテン・マーベルという名前だったころのジェリー・オーダウェイの一連の作品と、ジェフ・スミスのミニシリーズのやつだが、今回の映画版はジェフ・ジョンズのNew 52のものをベースにしてるので、あまり詳しい訳ではないです。以下は感想をざっと:

  • DCコミックス作品としては初めてニューライン・シネマが製作した映画になるわけで、まあ何となく「ホビット」みたいなファンタジー路線に合ったものになってるんですかね。
  • そもそも主演がザ・ロック様ことドウェイン・ジョンソンありきで製作が進んでいたはずだが、ロック様が主人公のシャザムでなく敵役のブラック・アダムを演じたがったことで主役不在となり、さらにブラック・アダム単体で映画を作ることになって今回は登場しなくなったわけだが、ここらへんのドタバタは完成品にどれだけ影響を与えてるのかしらん。原作だとマッド・サイエンティストのシヴァナがパワー系のヴィランになっているあたり、元々はアダムを想定してたのかな、と思います。
  • そのブラック・アダムは劇中でその存在を仄めかされるだけだが、まあロック様が忙しくてカメオ出演もできなかったんでしょうね。大昔にいた存在、とか言われてるあたり、「スコーピオン・キング」みたいな形のスピンオフが作られるのかな?
  • ロック様に代わって主役のシャザムを演じるのがザッカリー・リーヴァイ。おれ「チャック」をあまり観てないのでそんなに馴染みのある役者ではないですが、非常に背が高いのでヒーローを演じるには適役かと。シヴァナ役のマーク・ストロングも「グリーン・ランタン」のシネストロよりもよいヴィランを演じてたし。
  • 気になったのはストーリーのペースで、主人公が突然ヒーローになって驚き、悪ふざけをするところに時間を割き過ぎてるのでは。シャザムが空を飛べることは皆知ってるのだから、本人がその能力に驚いている描写とかがなんかくどいのよな。例によって最後はちゃんとヒーローとして目覚め、それはそれで良いのだが、話にもう1つくらい盛り上がりがあって欲しかったような。
  • どちらかといえばお子様向けの作品だが、R指定の「デッドプール2」同様に、「気が合う連中がいればそれが家族」というテーマを打ち出した内容であった。ここらへん「殺しあう仲でも血縁は重要」という感じだった「アクアマン」との対比ができるかも。
  • ちなみにシャザムというかビリー君の口癖が「Holy Moly!(びっくりこいた!)」なわけだが、日本語字幕では訳を統一しなかったのは何故だろう?
  • なおビリー君は心が純粋だという理由でヒーローとして選ばれるのだが、現実だったらあれトム・ハンクスが選ばれてるだろうな。劇中でもハンクス主演でよく似た設定の「ビッグ」へのオマージュがありましたね。

「Dragged Across Concrete」鑑賞

BONE TOMAHAWK」「BRAWL IN CELL BLOCK 99」に続くS・クレイグ・ザラーの脚本&監督作品。以下はネタバレ注意。

ブレット・リッジマンはベテランの警官であるものの、その我が道を行くスタイルのために出世できず、自分より20歳も若い警官のアンソニー・ルラセッティと組んで張り込み業務を行なっていた。しかし逃げようとした容疑者を手荒く扱った様子が撮影され、ニュースとして報じられたために二人は6週間の停職処分を受けてしまう。家族を養ったりするのに金が必要な彼らは、街にヴォーゲルマンという犯罪者が潜んでいることを知り、彼の犯罪の収益を横取りしようと張り込みを始める。そしてヴォーゲルマンが銀行強盗を遂行するのを見届けた彼らは、その獲物を奪うために一味の車を追うのだが…というあらすじ。

スタイル的には前作の「BRAWL IN CELL BLOCK 99」こと「デンジャラス・プリズン」を踏襲していて、どこが同じかというと:

  • ヴィンス・ヴォーン、ジェニファー・カーペンター、ドン・ジョンソン、ウド・キアー(!)といった役者が引き続き出演している
  • 尺がやたら長い(今回はなんと2時間40分)一方で、話が佳境に入るのがずいぶん遅い
  • 人体の破壊描写がえげつない
  • カーステレオでかかる曲が概してダサい

などといったところか。尺は長いしアクションが多いというわけではないものの、いろいろ展開は多いので中だるみもせずに見ていて飽きることはないかな。映画というよりテレビドラマを観ているような感じ?産休から復職する銀行員の話とか実はメインのストーリーに関係なかったりするものの、結局は印象に残ったりする。

主役のリッジマンを演じるのはメル・ギブソンで、パートナーのルラセッティ役がヴィンス・ヴォーン。ハリウッド俳優のなかでもコテコテの右寄りとして知られるギブソンとヴォーンだが、劇中においてもリベラル寄りのニュースメディアを揶揄するようなセリフがあったり、リッジマンの白人の娘が黒人の少年たちにいじめられるシーンがあったりと、どことなく反ポリコレ的な描写がチラホラあったな。ここらへん監督が意図して入れているのか、冗談でやってるのかよく分かりません。いちおう劇中でもっとも真っ当な人間として描かれてるのは、刑務所から出たばかりなのに家が貧しくて再び犯罪に手を染め、ヴォーゲルマンの運転手として雇われる黒人男性であったことは記しておきます。彼と一緒に雇われる友人をマイケル・ジェイ・ホワイトが演じているのだけど、彼を出しておきながら肉体派アクションを見せつけないのはムダ遣いだよな!

リッジマンとルラセッティはまあ悪徳警官なのだけど、冒頭でも容疑者にそこまで過度な暴力を振るうわけでもないし、人種差別をしているわけでもない(ルラセッティの恋人は黒人)。「リーサル・ウェポン」のマーティン・リッグスのような型破りの警官が年をとったらこんな感じになるんだろうか。アメリカで問題になった警察による暴力へのコメンタリーかというとそうでもないし、かといって単なるB級コップ・ムービーのパスティーシュかというと当然違うわけで、深く考えようとするとモヤモヤすることになるかも。

その長さが敬遠されてアメリカでもあまり多くの映画館では公開されなかったようで、まあ監督のスタイルに慣れてないととっつきにくい作品であるかな。前二作ほどのインパクトはないものの、見応えのある作品でしたよ。

「Blindspotting」鑑賞

昨年のサンダンスで公開されて高い評価を得た作品。

舞台はオークランド。酒場のケンカで逮捕されて仮釈放されたコリンは、保護観察期間が終わるまであと3日に迫っていた。彼は幼馴染の悪友マイルズと引っ越し会社で働いていたが、夜に帰宅しようとしたときに黒人男性が白人の警察官に撃ち殺されるのを目撃してしまう。この出来事に苛まれるコリン。一方のマイルズは妻子がいるのにブチ切れやすいタイプで、悪ノリで入手した拳銃をチラつかせて、コリンは気が気でない。果たして彼は無事保護観察期間を終えることができるのか…というあらすじ。

いちおうコメディドラマという扱いになっているようだけど、コメディの要素はあまりなくて、オークランドの現況を背景にした、いい年した男ふたりの青春物語といった感じ。「Sorry To Bother You」と同時期にオークランドで撮影したらしいが、あの作品ほど話がとんでもない方向に行くわけでもなく、人種差別とか銃問題とかをうまく織り込んで話が進んでいく。タイトルの「Blindspotting」は劇中の説明だと、1つのことが見えて別のことが見えない目の錯覚のことらしく、これが人種問題などを指していることが示唆されている。

監督のカルロス・ロペス・エストラダはミュージックビデオ出身で、これが初長編になるらしい。コリンをダビード・ディグス、マイルズをラファエル・カサールが演じているが、彼らは実際に幼馴染の親友らしく、脚本も一緒に執筆している。オークランドの状況をリアルに描きたくて脚本を書いたらしいが、まあ部外者にはそこらへんよく分からんがな。

話にものすごく起伏があるわけではないものの、主人公二人の掛け合いも巧妙だし、話のテンポが良いので飽きずに観られる作品。最後にちょっとしたクライマックスがあるのだけど、そこでセリフがヒップホップ調になるわけですね。ディグスはミュージカル「ハミルトン」にも出てたので、立て板に水を流すようなセリフ回しが大変素晴らしいのだけど、あれ日本語字幕とつけるの難しそうだなあ。

機会があれば観てみて損はない作品かと。


「キャプテン・マーベル」鑑賞

公開したばかりなので感想をざっと。以降はネタバレ注意。

  • 主役のキャラクターについては「ミズ・マーベル」だった頃の、ずっと昔に出た邦訳のコミックを持っていた覚えが。あとはアメコミを本格的に読み始めた頃はXメンのローグにパワーを吸い取られて昏睡状態に陥っていたという不遇な状況だったので、個人的にそんなに思い入れはなし。
  • しかし最近はコミックで主要なキャラクターになった(「シビル・ウォーII」はグダグダだったけど)」ということと、女性が主人公のマーベル映画が求められていたということもあり、映画化については満を侍して、という感じですかね。
  • 舞台は1990年代ということで、サントラも90年代ロックが多用されてるわけですが、「ガーディアンズ」に比べるとメジャーな曲ばかりで渋い選曲はなかったな。PCの遅さとかがネタになるあたり、自分が多感な時期を過ごした90年代は遠くになりけり、という感じでした。
  • 映画のスタイルも90年代のアクション映画っぽくて、サミュエル・ジャクソンとの掛け合いとかはバディ・コップものの亜流ですな。昔だったら金曜ロードショーなどで放送されてたような作品を彷彿させましたが、じゃあ90年代の作品のノリを再現したら面白くなるのかというと、必ずしもそうではないわけで。
  • 記憶を無くした兵士が自分の過去を取り戻し、組織から離れて一人立ちしていくところと、女性が自立していくさまを重ね合わせたのは良いのだが、それ以外の部分のバランスがどうも悪かったような?
  • スクラルにしろクリーにしろ、星間旅行が行える技術を持っている一方で、地球の交通事故で死ぬような弱さ。特にスクラルの主要キャラはなぜかオーストラリア訛りで話すようになり、「正体不明の策士」から「気のいいオッサン」までズルズルと格が下がっていくのが興ざめであった。もっと印象的な敵キャラを登場させるべきでしたね。
  • それに対して主人公は圧倒的なパワーを最終的に覚醒させるのだが、もうちょっと早く覚醒させて派手なバトルを繰り広げてもよかったような。何を言いたいかというと、終盤での宇宙船のなかでの格闘シーンがやけに暗くて、何が起きてるのか分かりにくかったのです。ここらへんは監督がアクション畑の人たちではないのも影響してるのだろうか。
  • スタン・リー追悼のオープニングはちょっとやり過ぎのような気もするが、まあいいか。本編でのカメオは「モールラッツ」の脚本を読んでるところがツボでした。
  • キャストはサミュエル・ジャクソン御大が70歳にも関わらず積極的なアクションを繰り広げられているのですが、自分の顔がずっとデジタル処理されて若返ってるのってどんな気分なんだろう。
  • マーベル映画としては「ドクター・ストレンジ」同様、比較的凡庸なオリジン映画の部類に入る作品ですかね。まあ今度の「エンドゲーム」の前振り的な作品でもあるので、あっちでキャプテン・マーベルがどう活躍するかに期待したいところです。